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採用活動や人事施策にウェブデータをどう活かすか?

採用活動や人事施策にウェブデータをどう活かすか?

求職者のオンライン行動から、応募者の潜在ニーズや心理を読み解きコミュニケーション最適化のヒントを探る

ウェブサイトへのアクセストレンドを分析するのは販促や競合比較にとどまりません。新卒・中途採用や人事施策にシミラーウェブを活用いただくことができます。今どきの求職者はどこで求人情報や企業情報を得ているのか?何を求めているのか?をシミラーウェブのデータから可視化し、分析することで、企業が求職者に対して的確にアプローチする上でのポイントが理解でき、自社のブランドを正しく伝えていく上で必要なアクションを明確化できます。活用方法の一例を以下にご紹介します。

 

1. 転職サイトの最新勢力図

まず最初に、求職者はどこで情報を得ているのか見てみましょう。エージェントサービスを除く転職サイトの訪問数トップ15をグラフにまとめたのが下の図です。赤い折れ線グラフは訪問数の昨年度比成長率を示しています。indeed.comが圧倒的な訪問数を獲得しているのが目立ちますが、それ以上に特徴的なのは、口コミサイトが4サイト(vorkers.com、careerconnection.jpなど)、SNSが(linkedin.com、wantedly.com)が2サイト、ランクインしていることです。

 

転職サイトトップ15の総訪問数と変化率(成長率)

従来型の転職サイトが企業の公式情報を発信する場であるのに対し、口コミサイトの中心となるコンテンツは第3者(それぞれの会社の正社員や元社員)による投稿です。またSNSはビジネスに特化した人的なネットワークで、求職者は自身のプロフィールを明らかにした上で、ダイレクトに企業の様々なレベルの人とつながることができます。このデータから、求職者の求職活動のスタイルが多様化していることがよくわかります。

 

2. 転職サイトと口コミサイトで異なるユーザー層や使い方

口コミ情報から情報を得ている人たちにはどのような特徴があるのでしょうか?

シミラーウェブのデータから、もう少し具体的なユーザー像を明らかにすることができます。まず確認するのは利用者層のデータです。性別分布では、口コミサイトは男性の割合が70%を超えています。転職サイトも男性優位ですが、口コミサイトはより男性に偏った利用状況です。次に年齢分布ですが、口コミサイトは25歳から34歳が最も多く、次いで35歳から44歳、新卒および第二新卒に相当する18歳から24歳の層も10%以上のシェアがありますが、これは転職サイトと全く同じです。

転職サイトと口コミサイトの性別分布

転職サイトと口コミサイトの年齢分布

次に、各サイトのマーケティングチャネルの構成を見てみましょう。下図にあるように4サイトともダイレクトとオーガニック検索の2つのチャネルが主要なトラフィックソースですが、口コミサイトは2つとも転職サイトよりもオーガニック検索により大きく依存しています。vorkers.comは75%、en-hyouban.comは89%がオーガニック検索からのトラフィックです。言い換えれば、口コミサイトはブックマークやブラウザの訪問履歴からのリピート訪問(=ダイレクト)が転職サイトと比べて少ないということです。

転職サイトと口コミサイトのマーケティングチャネル

そしてもうひとつ、これら4サイトにおけるクロスブラウジング行動(同日中に他のサイトを訪問している割合)を見ると、下記の通り転職サイトと口コミサイトの重複訪問の割合が10%前後であるのに対して、口コミサイト同士ではその割合は24%と非常に高い重複率となっています。

この2つのデータからわかるのは、求職者は気になった会社の周辺情報をGoogleなどの検索エンジンで探すなかで口コミサイトにアクセスし、情報を取得して目的を達成したらタスクは終了とする(再度そのサイトにアクセスするのは、別の理由が発生したとき)、また口コミ情報が公式情報ではないことは理解しているため、複数のサイトで情報を収集することで口コミが持つリスクに対処している、という求職者のユーザー行動あるいは心理です。

 

4サイトのクロスブラウジング行動

3.  口コミサイトへの検索キーワードから見る求職者ニーズ

次に口コミサイトを訪問するユーザーの検索キーワードから、求職者のニーズを探ってみます。4つの口コミサイトへの検索キーワードを見てみると、求職者は自分が興味のある会社名と知りたいことを組み合わせて検索していることがわかります。

 

口コミサイトにおける検索キーワード

そこで、企業名を除外したキーワードの中で訪問数が多いものをピックアップして整理したところ、下記のように5つのカテゴリにまとめることができました。各カテゴリの代表的なキーワードを抜粋しましたが、いずれも求職者が求めている情報であることがよくわかります。

口コミサイトにおける主要な検索キーワード

次に各キーワードのオーガニック検索による訪問数を2年前として、どのキーワードに対するニーズが高まっているのかを見てみました。それをまとめたのが下の表です。数字は左から、2018年10月-2019年9月の総訪問数、2020年10月-2021年9月の総訪問数、変化率です。

訪問数のボリュームと変化率からは、やはり会社への評価に対する関心が最も高いことがわかりますが、大きく成長しているのは労働環境カテゴリです。2年前と比較して2倍に拡大し、採用カテゴリの数字を抜き去っています。特に訪問数が大きく伸びているキーワードをピックアップすると、労働環境カテゴリでは、社風188%、テレワーク837%、リモート650%、ワークライフバランス138%などとなっています。また業績・市場環境では、将来性204%、競合263%などが目立ちます。

キーワードカテゴリ別の訪問数推移と変化率

労働環境カテゴリの成長キーワードは、コロナ禍によってリモートワークが拡大するなど労働環境が大きく変化したことや、キャリア構築においても幸福を求めることへの社会的なトレンドを反映したものといえそうです。また業績・市場環境カテゴリについては、コロナの影響もあり経済活動が不透明ななかで、企業の将来性や競合の動向により関心をもつようになったと解釈することができます。

企業はその採用活動において、求職者の関心に適切に対応していくことが重要です。検索キーワードの動向は求職者の最新の関心の方向性を示しています。自社サイトのコンテンツ企画だけでなく、会社説明会や求職者との面談などの場でも、このようにして明らかになった求職者のニーズを活かすことができるのではないでしょうか?

4.  求職者のサイトとの接点の全体像(カスタマージャーニー)を把握する

最後に、求職者は転職サイト以外にどのようなサイトで情報を収集しているのかを見ておきます。

口コミサイトの分析でピックアップしたキーワードと企業名の組み合わせによる検索キーワードをシミラーウェブのキーワードジェネレーターを使って生成し、複数のキーワードをグループ化します。作成したキーワードグループに対する着地ページを見ることで、求職者のサイトとの接点の全体像を把握することができます。

ここでは、求職者が就職したい企業ランキングで常に上位にくる総合商社の伊藤忠商事を例に見てみます。上記手順にしたがって作成した伊藤忠商事を含む検索キーワードのキーワードグループに対する着地サイトが下記の画面です。左からデスクトップのオーガニック検索、デスクトップの有料検索、モバイル検索のそれぞれの着地サイトのトップ5です。伊藤忠商事の公式サイトはデスクトップでは1位をとっていますが、モバイルでは残念ながら2番目となってしまっています。また今回焦点をあてたvorkers.comのほか、就活サイトやニュースメディア、企業関連情報を提供するメディアサイトが上位に顔を出していることがわかります。

このようにして求職者のデジタル上のカスタマージャーニーを明らかにすることで、企業の採用担当者は、自社のサイトは適切に運用できているのか、自社の人事や採用に関する広報活動は機能しているのか、あるいはチェックしておくべき口コミサイトはどこかなどを把握し、アクションにつなげていくことができます。

 

求職者が検索から着地しているトップウェブサイト(伊藤忠商事*の場合)

5.まとめ

今回は、新卒・中途採用や人事施策にシミラーウェブを活用するためのアプローチ例として、求職者のニーズやインターネット上の行動・心理に光を当てました。その他の活用方法として、競合他社の採用サイトの動向を探る、多数ある転職サイトの集客力を評価するなど、シミラーウェブを活用いただける領域は幅広くあります。企業の知名度や規模に関係なく、採用活動や人事施策も、最新のデジタル上の動向データに基づいた意思決定が求められる時代です。

それをサポートするツールとして、シミラーウェブを使ってウェブデータから把握できることは?

詳細はこちらにお問い合わせください。

 

by Senzo Tanaka

マーケティングマネージャー

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