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2021年の金融サービスで起こったウェブアクセスへの変化を消費者ニーズの視点から探る

2021年の金融サービスで起こったウェブアクセスへの変化を消費者ニーズの視点から探る

はじめに

2021年に大きくサイトトラフィックを伸ばしたセクターの1つが、証券や銀行などの金融サービスです。2020年は新型コロナウィルスの感染拡大が経済を直撃し、景気低迷、サラリーマンの給料減(国税庁の民間給与実態統計調査によると、平均給与は433万円、前年比0.8%減)を経験しましたが、2021年は改善を見せ、それに伴って金融サービスセクターへのトラフィックは全体として大きく増加しました。シミラーウェブのデジタルマーケティングインテリジェンスを用いて詳細を見ることで、金融サービス業界の今年のトレンドや消費者の行動に関する変化を紐解きます。

金融サービスのカテゴリ別のトラフィック動向 – 暗号通貨と資産運用サービスが大きく伸ばす

シミラーウェブのプラットフォーム上で、銀行、証券会社、暗号通貨市場、資産運用サービスおよびマネー系メディアの5つのカスタムカテゴリを作成し、それぞれのカテゴリごとのウェブサイト群へのトラフィックと成長率をまとめたのが、下の図です。

最も大きく成長したのが暗号通貨市場で253%増、それに次ぐのが資産運用サービスの74%増となっています。ビットコインが11月に780万円の値をつけるなど、今年大きく盛り上がったのが暗号通貨市場です。ロボアドバイザーによる資産運用SaaSの利用者が拡大したのも今年の特徴で、それを反映して資産運用サービスカテゴリが大きくトラフィックを伸ばしました。消費者の資産運用のスタイルがより多様化したことを示すデータといえます。

証券会社のカテゴリは、26%と堅調な伸びを示しました。ただ、後述しますが、決してすべての会社がトラフィックを伸ばしたわけでなく、主要証券会社のトラフィックに差異が見られました。銀行カテゴリはわずかに2%の伸びでしたが、同じ現象が見られました。

最大のトラフィックを集めたのがマネー系メディアで、成長率は23%でした。特に暗号通貨関連のサイトやコンテンツへのアクセスが大きく伸びたことが、成長の主要な要因の1つでした。

証券会社のトラフィック推移 – 楽天証券とSBI証券が存在感を増す

証券会社の口座開設数は、コロナ禍でも堅調に推移しています。下記は、主要5社の口座数の推移を、各社の公式サイトで公開している数字に基づいてまとめたものです。楽天証券はついに700万口座を突破しSBI証券に迫る勢い、SBI証券は9月の時点で771万口座で、800万口座突破も目前です。その他の3社も順調に口座数を伸ばしています

■主要5社の口座数推移

次にサイトのトラフィックの状況を見てみると、少し様相が異なります。5社のサイトの月間セッション数は、楽天証券とSBIの2社が圧倒的に多く、6月には楽天証券がSBI証券を追い抜きました。また楽天証券は上昇基調ですが、SBI証券は下降トレンド、その他の3社も、口座数は伸びているにも関わらずサイトへのトラフィックは停滞気味です。

もう1つ同じようなデータですが、こちらはデスクトップとモバイルデバイスでの重複利用を加味したユーザー数の推移です。これを見ると、楽天証券がSBIを大きく引き離しており、かつ上昇基調です。SBI証券は楽天証券に引き離され、かつユーザー数は伸びていません。他の3社も、ユーザー数は伸びていないことがわかります。

まとめると、口座数の拡大に伴ってサイトトラフィックが拡大しているのは楽天証券だけで、他の4社はトラフィックの面では大きな上昇は見られない、むしろ減っているサイトもあります。楽天証券を除く4社の場合、口座数は増えているものの、サイト上での取引につながっていない非アクティブなユーザーが多いということを示しています。

もう1つ、主要5社のサイトにおけるクロスブラウジング行動の状況をみておきます。これは24時間以内に他のサイトを閲覧している割合を示したものです。楽天証券とSBI証券のサイトは、他の3サイトを閲覧しているユーザーが24時間以内に閲覧している割合が15%前後と高いのに対して、楽天証券もしくはSBI証券サイトのユーザーが、他の3社のサイトを閲覧する割合は、3%前後です。ここからは、楽天証券とSBI証券のブランド力が強く、ユーザーロイヤルティが高いということがわかります。

日本、デスクトップ、クロスブラウジング行動、Dec 2020 – Nov 2021

証券会社サイトにおけるトレンドキーワードとジェネラルキーワード

証券会社サイトのカスタムカテゴリに対してアクセスのあった検索キーワードから、2021年のトレンドキーワードをピックアップしてみました。昨年9月-11月には検索実績がなく、2021年の9月以降で検索があったキーワードは、nft、テーパリングの2つ。また最もトラフィックを発生させたキーワードは半導体でした。半導体は、半導体不足が非常に注目され、フィラデルフィア半導体(SOX)指数の動きで株価が影響を受けるなど、2021年後半のトレンドワードとしては納得です。

その他のキーワードを見ても、株価やマーケット動向に関する旬なもの、Youtubeでトレーディングに関するコンテンツを発信しているトレーダーがランクインするなど、今ならではのランキングとなっています。

■ 2021年のトレンドキーワード ■

上記トレンドキーワードほどの伸びはないものの、2020年から2021年にかけて引き続き多くのアクセスを生んだキーワードもピックアップしてみました。銘柄評価のための指標など、おなじみのキーワードが多く、株の初心者はおそらくこうしたキーワードで検索して、証券会社のサイトで情報収集ししていると思われます。

■ 継続して多くのアクセスを獲得しているキーワード ■

銀行カテゴリのトラフィック推移 – メガバンクはマイナス成長、オンライン専業はトラフィック伸ばす

銀行カテゴリ全体のトラフィック成長率はわずか2%ですが、銀行別にトラフィックの状況を見てみると、メガバンクはマイナス成長、オンライン銀行は堅調にトラフィックを伸ばしていることがわかります。

トラフィックトップの楽天銀行は34.6%の成長率、2番手のみずほ銀行は-12%、3番手の三菱UFJ銀行は-4%の成長率です。特にみずほ銀行はATM障害など幾度となくトラブルにみまわれたことも影響している可能性があります。楽天銀行に次いで成長率が高いのがじぶん銀行で、34.5%です。

上記の中でトラフィック上位の5サイトの年齢分布を見ると、ネット銀行の楽天銀行と住信SBIネット銀行は、25-34歳と35-44歳の年齢層の割合が高く、メガバンク3サイトは55歳以降の年齢層の割合が高くなっています。ネット銀行はデジタルリテラシーの高い若い年齢層の顧客を高い確率で獲得していることから、将来の資産運用に対する啓蒙も含めたコミュニケーションに重点を置くことで、顧客基盤を強固なものにできる可能性があるといえるでしょう。

主要銀行サイトにおける人気コンテンツ – 金融商品では投資信託、サービスではtoto、公営競技や宝くじにトラフィックが集まる

銀行サイトにおけるコンテンツの閲覧状況の推移を見ることで、消費者が銀行に対して何を求めているのかがわかります。以下は上位5サイトにおけるコンテンツ閲覧の動向を、セグメント分析の機能を使って調べたものです。全体的な傾向としては、金融商品の中では超低金利の円預金に対しては非常に興味度が低く、投資信託に対する興味度が高いことが明らかです。その他のサービスではキャンペーンやtoto、公営競技の各コンテンツへのニーズが高いことがわかります。着実に貯めて増やすという銀行の役割はすでに過去のことで、消費者はより有利な条件や大きなリターンを求める傾向が強くなっているということでしょう。

詳しくは以下の画像をご確認ください。

■ 楽天銀行

キャンペーンとtotoの2つで全訪問数に対するシェアは80%。以下、公営競技、証券、宝くじと続きます。円預金はわずか2%のシェアです。

■ みずほ銀行

金利、キャンペーン、ローンがトップ3で、合計のトラフィックシェアは70%。以下、投資信託、IDECO、NISAと続き、円預金は7位でわずか3%となっています。

■ 三菱UFJ銀行

金利がほぼ60%のシェア、以下投資信託、宝くじなどのその他のサービス、外貨預金、IDECO、相続で、円預金は7番目で2%のシェアとなっています。

■ 三井住友銀行

投資信託、金利、ローン、宝くじ、totoの順番で合計のシェアは80%。以下、定期預金、外貨預金というランキングになっています。

■ 住信SBIネット銀行

キャンペーン、外貨預金、円預金、金利、手数料と、上位4行とはことなるランキングとなってます。キャンペーン訴求で、各コンテンツを閲覧していると推測されます。

まとめ

金融サービス全体の2021年の動向や消費者ニーズを探るべく、シミラーウェブのカスタムカテゴリキーワード分析セグメント分析などの機能を使っていくつかのデータをご紹介しました。消費者が今、何を求めているのか、あるいは競合のプレーヤーは自社と比較してどの程度のアクセスを獲得しているのかなどを、具体的なデータで把握することで、自社が次にとるべきアクションや施策の方向性を探ることが可能です。

2022年は今年以上にデジタルが重要性を増すことは間違いありません。ぜひシミラーウェブのプラットフォームを活用して、データに基づいたデジタルマーケティングを推進されることをおすすめします。

詳細はこちらにお問い合わせください。

 

by Senzo Tanaka

マーケティングマネージャー

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