ネット市場での消費者ニーズを自社の製品戦略に活用する方法 — ペット業界
ネット市場での消費者ニーズを自社の製品戦略に活用する方法
— ペット業界の有望な商品カテゴリーを、ECサイトでの製品需要から特定する —
はじめに
企業規模や業種に関係なく、新しい分野でビジネスを展開するという判断には客観的な指標が必要になります。果たしてそのマーケットに可能性はあるのか、またどのような製品分野にプライオリティをおけばいいのかといったことについて、高い確実性をもって意思決定していく必要があるからです。シミラーウェブは膨大な量のウェブサイトやアプリのトラフィック情報を有しており、業界や個々のサイトのトレンドや検索キーワードを分析することで、企業の製品戦略に活用できるインサイトが得られます。ここではペット業界に例をとり、この業界でどのような製品分野に対するニーズが高まっているのかを探っていきます。
ペットフードやペット用品に対するオンライン上の需要動向は?
『会社四季報 業界地図2022年版』によれば、ペットフード・ペット用品を合わせた国内市場規模は2019年度に4461億円で前年度比5.5%の増加、ペットショップや医療などを合わせた全体の市場規模は約1.5兆円となっています。コロナ禍でペットを求める世帯が増えたといわれており、2020年、2021年もペット業界は引き続き拡大基調にあると思われます。
では、ペットフード・ペット用品のデジタル上の動きは、どうなっているでしょうか。その成長性について、シミラーウェブの「業界の分析」という機能を使って確認します。「業界の分析」には200以上の業界カテゴリがあらかじめ用意されおり、各業界に属する主要なウェブサイト群のトラフィックデータを分析することで業界の動向を把握することができます。ただし今回は、「ペット業界における有望な製品分野を探る」というテーマに沿って、既存のカテゴリを使わず、カスタムカテゴリを作成します。
ペットフードやペット用品、薬品などの主要なECサイトや製品情報サイトをピックアップし、そのURLをカスタムカテゴリに登録します。選定するサイトは、すでにある「ペットフードと商品」カテゴリーの上位サイトをベースとし、主要なサイトに漏れがないように、「競合情勢」を使って主要な競合サイトを洗い出してしてピックアップします。
こうして作成したカスタムカテゴリのトラフィックの動向を確認したのが下の画面です。直近1年間(2020年9月-2021年8月)の合計訪問数を、その前の1年間と比較すると14%成長していることがわかります。また、過去1年間の月別トラフィックを見ると、すべての月で前年を上回っており、堅調に成長していることがわかります。ペット飼育者数の拡大を受けて、オンライン上の需要も拡大していることが裏付けられました。
SEOが最大のトラフィックソース。SNSは未開拓の集客チャネルとして注目
マーケットの成長性と合わせて、マーケティングチャネル別のトラフィックを確認しておきます。この業界における主要なサイトのトラフィックがどのチャネルに依存しているのかを理解すると同時に、今後の集客施策を考える際に参考になる情報を入手することが目的です。
下の画面が、カスタムカテゴリのマーケティングチャネル別のトラフィック分布です。オーガニック検索が55%、それに次ぐのがダイレクトで35%となっており、この2つのチャネルで90%のトラフィックを稼いでいます。オーガニック検索は、グーグルなどの検索エンジンで情報を探している消費者との最も有力なコンタクトポイントであり、新規参入者でもSEO対策に力を入れることで先行する競合サイトからシェアを奪える領域です。
一方、ダイレクトはブックマークあるいはブラウザの履歴から直接サイトにアクセスするトラフィックで、サイトへの関心が高い層や既存顧客の訪問を示唆しています。オーガニック検索で消費者とつながり、製品やブランドへの認知を獲得し、商品力があれば固定ファンがついて安定的なトラフィックを獲得するという好循環をつくることが、オーソドックスですが理想的な集客アプローチと考えていいでしょう。
もう一つ注目しておきたいのは、有料検索やディスプレイ広告への依存度はそれほど高くないこと、またソーシャルメディア経由のトラフィックが少ないことです。特にソーシャルメディアトラフィックのシェアが1%以下と非常に少ないことは、この業界においてはSNSの活用がまだ未開拓であることを示唆しています。詳細はさらに分析する必要がありますが、今後の集客施策を考える上でSNSを強化するというオプションは検討するに値すると思われます。
IoT関連製品と健康志向のペットフードが成長トレンド
ここまでで、オンライン上のマーケットは順調に伸びていることやマーケティングチャネルの状況が確認できました。ここから今回のメインテーマである、どの製品分野の製品ニーズが高まっているかを具体的に見ていきます。先のチャネル分析で55%のトラフィックシェアをもつことが判明したオーガニック検索に注目して、製品や製品カテゴリーに関連する検索キーワードの動向に注目することで、伸びている製品カテゴリーを特定します。
具体的には、キーワード検索内の「業界別のキーワード」の機能を使い、先に作成したカスタムカテゴリのサイト群にアクセスがあった検索キーワードを分析します。単にキーワードをリストアップするのではなく、伸びているキーワードを特定するために「トレンドのワード」にチェックを入れてフィルタリング。さらにキーワードリストから製品名や製品カテゴリーとは関係のないキーワードを除外していくと、需要が伸びている製品関連キーワードが絞り込まれて、目的のキーワードリストが手に入ります。以下がその画面です。
トップ10はどうなっているでしょうか、見てみます。1位は猫専用の首輪型デバイス、以下2位水槽底に配置するフィルター、3位ドッグカメラ、4位犬のフィラリア予防薬、5位獣医師監修のドッグフード、6位アクリル水槽、7位イベルメクチン系薬剤、8位水槽用のハイブリッドフィルター、9位健康に配慮したペットフード、10位空間を楽しむコンセプト水槽となっています。特徴的なのは、IoT関連製品と健康志向のペットフードがランクインしていること、そして水槽関連製品が2つランクインしていることです。
水槽関連は、アクアペット市場がコロナ禍で伸びたと言われていますので、その影響と考えられます。IoT関連も健康志向のペットフードも、いずれもペットやペットとの生活の質を向上させるという共通のコンセプトでくくることができそうです。このコンセプトに沿った、IoT関連製品やフード関連製品が成長トレンドにあることがデータで確認できましたので、今後の製品戦略の方向性検討に反映されるべきです。
キーワードリサーチツールを駆使して、特定の製品領域に対するニーズを深堀りする
IoT関連や健康志向のペットフードという領域は特定できましたが、もう少しデータ的な裏付けがほしいところです。例えばランキング1位の猫専用の首輪型デバイスですが、そもそも首輪というツールに対するニーズがあるのかどうかはしっかり確かめておきたいところです。そのために、シミラーウェブの複数のキーワードリサーチツールが役に立ちます。
まずキーワードジェネレータを使って「首輪」に関連する検索キーワードを洗い出します。次に、それらキーワードでキーワードグループを作成し、そのキーワードグループから発生したトラフィックの推移を確認します。過去1年間のトラフィック推移を見たのが、下記の画面です。ご覧の通り、安定したトラフィックが発生していることがわかります。このことから、首輪に対する需要は確実にあり、IoT製品開発のターゲットとなり得る製品領域と考えられます。
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