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ピンチな時は、オカネが動く!? : その時個人投資家はどう動いたか

ピンチな時は、オカネが動く!? : その時個人投資家はどう動いたか

x過去の歴史の中で、日本経済を揺るがす「危機」が起こるたびに、個人投資家は様々な教訓や経験を積み重ねてきました。ウェブ上に無限に出現する情報を、目を皿にして検索し、自身の売買の判断材料としたり、投資アナリストと言われる専門家の分析を隅から隅まで閲読し、自分なりの「投資の根拠」を創造して投資を重ねてきました。値下がりした時買う「経済危機は投資の絶好のタイミング」であることは、株式投資の未経験者ではないものの“アマチュア”である筆者も容易に想像できます。x

xx株価が上昇に転じた後では、誰もがそれを正論として展開できてしまいますが、「コロナ」という異常事態において、投資の専門家の目線から少し離れた、デジタル領域目線での分析を行いました。xx

xx本ブログは、専門家が行う高度な市場調査を伴う分析の領域の外側にある、シミラーウェブ PROというマーケット・インテリジェンスツールと、誰もが身近に手に入るパブリックな情報ソースとを突き合わせ、本当に個人投資家は、手元の資金を投資に回すアクションを取ろうとしていたのか、投資に関わる情報収集に動いていたのか、その裏付けの一端を試みました。xx

xコロナ禍における日経平均株価の顕著な下落開始時期を、2020年2月25日と設定します。終値は22,605円。(2月24日は祝日、前週末の終値23,386円から約4.4%の下落した時点を起点とします)最下落地点を2020年3月19日、終値は16,552円と設定します。そこから上昇に転じ、2020年6月9日を一旦の回復日と設定します。終値は23,178円でした。x

x日経平均株価推移x

xこの期間の、インターネット専業証券会社であります、株式会社SBI証券、楽天証券株式会社2社におけるデータを分析してみます。仕様上、データ抽出期間を2020年2月~6月とします。以下は、該当期間中の合計訪問数のデータです。更にシミラーウェブ PROの分析機能により、各サイトに訪問しているユーザーの約80%がログイン(=口座を開設している)してる事も分析できました。x

xSBI証券、楽天証券2社のサイトへの総訪問数。データ抽出期間は2020年2月~6月xそれでは次に、トラフィックの月次変化を見てみます。2020年3月におけるトラフィックの前月比は、SBI証券で約34%、楽天証券で約28%の上昇を見せています。これは、ユーザーの投資への関心度が急激に上昇していると仮説付けられます。xx

xSBI証券、楽天証券2社のサイトのトラフィック推移(月次変化)x次にトラフィックの週単位の変化を見てみます。先に提起した日経平均株価の最下落タイミングである2020年3月19日週は、赤枠の中の中心に当たり、前週は最大値をマークし、一時的にトラフィックは減少しているものの、翌週直ぐに回復しています。株価が低迷を辿る中、逆にユーザーの「投資」への関心度が再び上昇していることを示しています。xx

xSBI証券、楽天証券2社のサイトのトラフィック推移(週次変化)x次に前年同期間比(2019年2-6月vs. 2020年2-6月)における、合計訪問数の比較を見てみると、両社共に非常に顕著な増加がみられました。xx

xSBI証券、楽天証券2社のサイトの前年同期間比(2019年2-6月vs. 2020年2-6月)における、合計訪問数の比較x更に前年同期間比における、流入チャネル別の増減分析を行ってみますと、ソーシャルメディア、有料検索、次いでオーガニック検索が顕著な伸びを示す反面、両社ともにディスプレイ広告展開には消極的だった事が伺えます。xx

xSBI証券、楽天証券2社のサイトの前年同期間比(2019年2-6月vs. 2020年2-6月)における、流入チャネル別の増減分析x

x両社共に証券会社がディスプレイ広告出稿を控えていたと推測される中で、2社間で顕著な違いを見せたものが、ディスプレイ広告から訪れたユーザーの滞在時間です。以下は、ディスプレイ広告経由で訪問したユーザーの平均滞在時間における、前年同期間の比較です。x

xSBI証券のディスプレイ広告から訪れたユーザーは、前年同期間に同じくディスプレイ広告から訪れたユーザーに比べ、長時間滞在したユーザーであることが分かりました。x

xSBI証券、楽天証券2社のサイトの前年同期間比(2019年2-6月vs. 2020年2-6月)における、ディスプレイ広告経由で訪問したユーザーの平均滞在時間における、前年同期間の比較です。x

x滞在時間の長い=投資に対して情報収集意欲の高いユーザーが誘導されたとも仮説付けられます。では、実際にSBI証券のディスプレイ広告がどのようなクリエイティブであったかをシミラーウェブ PROのデータで見てみましょう。x

xSBI証券のディスプレイ広告クリエイティブx

xx本ブログでは、スペースの関係から詳細の説明は割愛しますが、xx国民年金基金連合会xxが提供しているxxiDeCo(個人型確定拠出年金)の加入等の概況xxによれば、2019年12月の月間新規加入者数と比較すると、2020年2月:28.7%増、3月:14.8%増と2桁増でした。xx

xx一方で、国内株式市場では外国人投資家の影響が多大にあります。xx日本取引所グループ(JPX)xxが提供するxx投資部門別売買状況のレポートxxを閲覧しますと、該当期間における東証一部、二部、マザーズ、JASDAQにおける外国人投資家は大きく売り越し、国内個人投資家は総じて買い越しでありました。xx

xx金融庁が提供しているxxNISA・ジュニアNISA利用状況調査xx、令和2年3月末時点(令和2年7月14日公表)xxレポートxxによりますと、2019年12月末時点から比べ、一般NISA口座数では1.0%の増加に留まりますが、つみたてNISA口座数では16.2%増加となりました。xx

x株価下落時に、国内株式市場、NISA(投資信託)、iDeCo(個人型確定拠出年金)という3つのセクターにおける様々な数値がプラスに転じていた事から、短期のみではなく長期資産形成にも資金が流入したことが「結果的」に読み取れた一方で、Similarweb PROを用いて、リアルタイムに分析可能なデータとその推移に注目することで、その後起こりうるであろう市場の動きをいち早く察知し、推計する事ができます。x

x今回の分析では、日本市場が危機的な状況下には、個人投資家の投資活動がアクティブになり、「経済危機は投資の絶好のタイミング」という諸説を裏付ける、一つのきっかけをデジタルの領域から見つけ出す事ができました。x

 

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by Masayuki Suzuki | 鈴木 雅之

クライアントサクセスエンジニア

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