2020年ゴールデンウイークのデジタルトレンドを振り返る
新型コロナウイルスによる緊急事態宣言下で迎えた2020年のゴールデンウィークは、多くの人が「新しい在宅での過ごし方」を模索した期間だったと言えるでしょう。4月末から5月第1週のデジタルデータには、こうした消費者の意識や行動が反映されています。では、人々が「ニューノーマル」の中で過ごした今年の大型連休を、シミラーウェブのデータで振り返ってみましょう。
「業界ヒートマップ」で見る2020年ゴールデンウィーク
まず、ゴールデンウィーク前後に各業界でどのような変化が起きたか、シミラーウェブが作成する「業界ヒートマップ (*)」で大きなトレンドを探りました。下記は、日本の主要業界で、2020年2月10日から6月8日までの変化を示しています。
ゴールデンウィーク前後にプラスの成長率が上昇した業界には、オンラインゲーム、Eコマース、フードデリバリー、家具インテリア、ペットなどが含まれました。
この中で特に顕著な伸び率が見られたのはフードデリバリーで、5月4日の週に1,000%以上の伸びを記録したubereats.comをはじめ、pizza-la.co.jp、pizzahut.jp、demae-can.comなどで大きな伸び率が確認できます。家具インテリア業界では、low-ya.comが、ikea.com、nitori-net.jp、dinos.co.jpなど業界大手のサイトを上回る上昇率を見せました。
一方で、マイナス推移からプラス推移に変わった業界には、オンラインラグジュアリー(ハイブランドのサイト)やスポーツなどが含まれました。上記に挙げた食品や生活用品と異なり、高級品やスポーツはユーザーが固定化、あるいは限定されることが多いでしょう。しかし、ゴールデンウィーク中に「生まれた空き時間」に、普段こうしたサイトを閲覧しないユーザーからの流入があったことが想像できます。
*「業界ヒートマップ」とは:
主要業界とカテゴリのウェブトラフィック変化をビジュアル化したものです。週ごとのに更新される対前年比の逐次成長率から、世界規模で激動する経済活動が回復、あるいは「平常化」に向かう動きを追うことができます。ヒートマップは、昨年の同期間に対する成長率がプラスであれば青で、マイナスであれば赤で示され、その割合が各色の濃度で表されています。
続けて、本ブログでは、今年のゴールデンウィークに興味深い変化があった2カテゴリ、「料理とレシピ」そして「ゲーム」にスポットライトを当てて分析しました。
2020年4月-5月のトラフィック総数を昨年同期で比較すると、「料理とレシピ」は約50%増、「ゲーム」は約20%増加という、非常に大きなトラフィック上昇が確認されています。
全国的な緊急事態宣言により、外出自粛や移動制限がある中、自宅での時間の過ごし方の一つとして、ゲームや料理をして過ごす人が急増したことによるトラフィック上昇と捉えることができます。
レシピサイト利用トレンド
まず注目したのが、「料理とレシピ」のカテゴリです。在宅で過ごす時間を使って普段作らない料理に挑戦した方も多いのではないでしょうか。2019年と2020年で、それぞれ4月から5月のトラフィックを比較すると、カテゴリ全体へのデスクトップとモバイルウェブの全トラフィックは約50%上昇しており、今年のゴールデンウィーク前後にユーザーの関心が高まっていることがわかります。また、このカテゴリでは、88%以上のトラフィックがモバイルウェブからアクセスされていることもわかります。レシピサイトを使う際には、実際に料理をしながらモバイルで閲覧するユーザーが多いことも一因と考えられるでしょう。
レシピサイト上位で変わる顔ぶれ
では、「レシピ」というキーワードを使って検索されたトップ10サイトを2019年と2020年で比較してみましょう。9割近いユーザーがモバイルからアクセスしていますので、ここでは、モバイルウェブに注目します。
まず、モバイルから「レシピ」のキーワードでアクセスを獲得したトップ10サイトの合計トラフィックは、2019年5月(1.2億)と比較して、2020年5月では約2倍(2.2億)になっています。さらに、トップ10を構成するサイトの顔ぶれと各サイトへのトラフィック量にも変化がみられます。カテゴリトップのcookpad.com以外は、サイトの入れ替わりが多く見られ、その順位も激しく変動しています。
上記ランキングに見られるように、モバイルから「レシピ」のキーワードで検索されたサイトトップ10では、2019年にはみられなかった3サイトが、2020年にランクインしています(kurashiru.com、oceans-nadia.com 、lettuceclub.net)。下のグラフは、2019年3月から2020年5月の、これら3サイトへのトラフィック推移です。kurashiru.comはトラフィックが約4倍、oceans-nadia.comは2倍弱、lettuceclub.net は下方推移ではあるものの約3倍の成長率となっています。
2020年に上位ランクインした3サイト
続けて、3サイトが大きく成長した背景を、トラフィックの流入チャネル、3つの視点で、もう少し詳しく探ってみることとします。
流入チャネル別に3サイトを比較すると、グループトップのkurashiru.comは、「検索」から最も多くのトラフィックを獲得しており、検索全体のおよそ半分が、kurashiru.comへ流れています。
では、これらのサイトはどのようなキーワードで検索され、そこにレシピや食材別の特徴があるでしょうか。下のキーワードリストを見ると、「 レシピ」の組み合わせでのトラフィックシェア順位はkurashiru.com、oceans-nadia.com、lettuceclub.netの順であり、「レシピ」を含まないキーワードでは、その順位は変わらないものの、oceans-nadia.comがトラフィックシェアを7%ほど落としていることが分かりました。
SEO対策の際に意識しているキーワードに、若干の違いがあるのかも知れません。
また、「New」でフィルターした場合と「トレンドのワード」でフィルターをした場合のトラフィックシェアを比較してみたところ、そのシェアの変化は1%程度であり、各社、徹底的なSEO対策をリアルタイムで実施していることが分かります。
流入トラフィックの殆どを「検索」から稼いでいるサイトならではの強さと言えるでしょう。
強者がより強く牽引するゲーム業界
続いて、こちらも昨年同期比で約20%と、大きくトラフィックを伸ばした「ゲーム」カテゴリにも注目してみました。
まずはじめに、主要TVゲーム機本体(Nintendo Switch、PlayStation、Xbox)を一つのキーワードグループとしてトラフィックの分布を見たところ、発売から数年以上経過しているものもある中、2020年3月より上昇トレンドとなり、4月には、過去24か月間で、最も大きなピークを迎えました。また、これらのキーワードグループに対してトラフィックシェアを占めている上位のECサイトはamazon.co.jp、biccamera.com、yodobashi.comとなっており、Amazon.co.jpの強さを改めて確認できます。
ゲーム機本体のキーワード上位サイト
そして、これらのECサイトを分析してみると、主要TVゲーム機本体(Nintendo Switch、PlayStation、Xbox)の中でも、圧倒的に任天堂スイッチが、検索キーワードからの流入をけん引していることが分かりました。
また、Amazon.co.jpとBiccamera.comでは、同一キーワードにおいても、デスクトップとモバイルでトラフィックシェアが約10%も異なることが分かりました。
端末別の他社とのトラフィックシェアを把握することが大切と言えるでしょう。
今回は、シミラーウェブのカテゴリ分析、キーワード分析、そしてウェブサイト分析を利用して、2020年ゴールデンウィークのカテゴリ別パフォーマンスと、そのトッププレイヤーのトレンドを振り返りました。
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