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デジタルインテリジェンスはVUCA時代の戦いに不可欠なツール

デジタルインテリジェンスはVUCA時代の戦いに不可欠なツール

<IT批評家/フューチャリスト 尾原和啓氏による寄稿>

コロナ禍は、強制的ともいえる形で私たちの生活スタイルを変え、描いていた未来の訪れを、10年以上早めたといえる。

リモートとリアルのハイブリッドで仕事をすることが一般化し、デジタルを活用した顧客との接点が広がり、すべての体験がデジタル化して、データを活用した新たな価値がより重視されるようになった。

その一方で、久しぶりに出社してみると、対面でのコミュニケーションの魅力や効率性を感じ、「やっぱり、リアルはいいなぁ」と思う人も多いだろう。しかし、だからといって、懐かしさに溺れリアルだけの環境に戻ってはいけない。私たちは、ハイブリッドを強制的に経験したことをチャンスにして、オンラインで得た良さやメリットを活かし、新たな環境で、どう進化するかを考えなくてはいけない。

 

VUCA時代の到来

10年以上、変化が早まったということは、変化の振れ幅も大きくなるということだ。VUCA(Volatility、Uncertainty、Complexity、Ambiguity=変動性、不確実性、複雑性、曖昧性)の時代では、変化をリアルタイムに捉え、それに対応していくことがますます重要になっている。そして、振れ幅が大きいということは、ピンチが生まれやすい一方で、ブルーオーシャンを見つける可能性が高まるタイミングだともいえる。

日本人は、PDCAによる線形型意思決定の手法を好むが、VUCAの時代においては、成功例をコツコツ積み上げていくPDCAの手法ではなく、OODA(Observe、Orient、Decide、Act=観察、状況判断、意思決定、行動)による非線形型意思決定手法が最適であり、チャンスを広く捉え、そこに対して電撃戦で走っていくような機動力が必要だ。米海兵隊のように、状況を見て、勝てる場所はどこかを素早く捉えて、意思決定を行い、すぐに行動を起こすことが大切なのだ。

人や企業のオンライン上の行動を把握することは、企業のOODAを支える強力な武器になる。ライバルよりも視野を広く、リアルタイムに状況を把握することが可能になるからだ。

もし、ライバルがいないところを探すことができれば、戦いを略すことができる。これを言葉にしたのが「戦略」だ。チャンスが現れたら、まずはそこに行く。デジタルインテリジェンスは、それを可能にする。

米国におけるeコマースの市場規模は、小売市場全体の2割の構成比が限界と言われていたが、コロナ禍で3割にまで上昇し1.5倍に市場規模が拡大したわけだ。こうした変化のなかで、ライバルがいない場所を見つけるチャンスが生まれた。また、ライバルがいる場所でも、相手が持っている武器を正確に知り、同等以上の武器を持っていたり、戦う場所として優位であることがわかれば、そこで勝つことができる。

 

戦いに勝つには

「戦い」には4つの要素がある。戦いを略すための「戦略」のほか、戦いを作る「作戦」、戦いの術である「戦術」、戦いを支えるリソースである「兵站」だ。戦略だけでなく、作戦、戦術を遂行する上でも、相手を知ることが大切であり、デジタルが前提となるいまの時代には、デジタルインテリジェンスが活かされるのだ。

私自身、デジタルインテリジェンスツールを活用している。

そのツールで得られるデータを活用することで、どこがレッドオーシャンなのか、どこにブルーオーシャンがあるのかといったことを高解像度で理解できることを実感している。

たとえば、米国において、旅行会社のサイトへのアクセスが急増していることがすぐに理解できた。

ワクチン接種が広がり、今年の夏や秋には、旅行に行けるのではないかという期待感から消費者が動き始めているのだ。消費者は、期待や失望によって、行動が加速したり、減速したりする。そして、行動に変えるまでには時差があり、そのギャップを捉えることで、どこがレッドオーシャンになるのか、どこにブルーオーシャンが生まれるのかを認識できる。

これまで多くの企業が、意思決定の判断材料にしているデータは、実際の行動が起こった後や、アンケート調査、市場調査の結果に基づいたものだ。デジタルインテリジェンスを活用して、意思決定を行っている企業はまだ少ないのが実態だ。しかし、いまのような変化が激しい時代においては、なにが起きるのかといったことを、他社に先行して1~2カ月早い段階でそれを知ることが大きな差を生むことになる。

旅行会社へのアクセスが増加する前にも、海外の旅行先の写真を見始める人が増加したり、旅行に関して、なにかを調べ始めたりする人が増えるという事前行動があって、その後、旅行会社のサイトへのアクセスが少しずつ増加してきた行動を捉えれば、少し前から、そこにどんなチャンスがあるのか、そこでどんな手を打てばいいのかといった判断が可能になる。

とくに、日本の場合は、動きが遅れて表面化することが多くみられる。

旅行業界の例にしても、ワクチン接種が進んでいない日本では、まだ失望感が強い状況にあるが、数カ月後には、米国と同じように、旅行に対する期待が高まる状況になる可能性がある。ワクチン接種で先行した国の動きをみれば、ちょっと先の状況を見ることができる「タイムマシン」のようなものが、ここにあるのだ。

デジタルインテリジェンスツールを活用し、いまの米国の状況をベンチマークすることで、次にどこに行けばいいのかといった場所が想定できるわけだ。デジタルインテリジェンスは、まさにレーダーのような役割を果たすことができる。

 

地図からコンパスへ

デジタルの中にリアルが包まれていく、アフターデジタルの世界では、リアルの世界がつながっていくため、変化が指数関数的に加速する。今まさに予測できない時代に直面している。

 

計画経済の時代だったかつては、未来に向けて、どの道を辿れば、最短で到達するのかといったことを中期経営計画などで描き、その地図をもとに経営を行ってきた。

 

しかし、変化の時代は、どこが山になり、どこが谷になるかがわからないため、コンパスを持ち、天気の変化や海の状況を見ながら、俊敏に動いていくことが大切だ。地図はまったく役に立たない。だから、私たちは、地図からコンパスへと、持ち物を変える必要がある。そして、持つコンパスは正しいものでなくてはならない。

 

デジタルインテリジェンスツールは、VUCA時代のコンパスになると、私は考えている。

 

「デジタルインテリジェンスは変化が加速する時代の羅針盤」ではユーザーとの接点がオフラインからオンラインへと大きくシフトした今の企業に必要なオンラインでの顧客理解とリアルタイムでかつ
継続的なコミュニケーションについて触れている。今、注目されているSimilarwebの「デジタルインテリジェンス」について、SimilarWeb Japanの田中晃が、IT批評家でフューチャリストとして活躍する尾原和啓氏を招き、要諦を語った内容が記載されている。これからの「ブルーオーシャン」を見つけるためにぜひ、ダウンロードして読んでみてください。

 

 

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