高速修正主義のすすめ
<IT批評家/フューチャリスト 尾原和啓氏による寄稿>
*尾原氏寄稿:「デジタルインテリジェンスはVUCA時代の戦いに不可欠なツール」はこちら
20世紀を振り返ってみると「成長社会」の時代だったと言える。課題を見つけ、それに最適な正解を導き出すことができる情報処理力が重視され、決まった答えに回答していく能力が生かされたわけだ。日本が高い成長を遂げたのは、それが得意だったからだ。
しかし、21世紀は「成熟社会」の時代となり、チャンスがどこにあるのかを探り、変化する問いに対応していく必要がある。決まった正解があるわけではないから、情報を編集する力が求められ、正解よりも、納得解が大切になり、そのためには、刻一刻と変わる市場のデータを捉え、高速修正主義へと移行しなくてはならない。
速度で勝負
ライバルがどちらの方向に向いて、どんな武器で戦うのかを察知し、それを上回る速度で、武器を装着して、戦う能力が必要なのだ。
いまや、AIは誰もが使える武器になり、戦略判断や意思決定に直結するものになっている。これまではデータはハンティングしてくるものだったが、いまでは、顧客に対して、素晴らしい経験を提供し、それをもとに顧客が情報を発信し、そこから私たちがデータを収穫するというハーベスティング・ループの世界に移行している。
1年に1回、顧客の動向をアンケート調査から得られればいいというのではなく、内側からも、外側からも、常に収穫されてくるデータをもとに、ユーザーに対して何を行うのか、それを行ったことによって、どんな成果を得られたのか、そして次にはなにをしたらいいのか、という取り組みにつなげなくてはいけない。豊かな収穫を続けることで、お客様に価値を提供し、ライバルに差をつけ、お客様から選ばれ続けることができる。
デジタルインテリジェンスツールは、疑似的にユーザーインタビューをしているようなものだ。どんなサイトに訪れ、そのサイトを訪れる前にはどんなサイトに訪れ、いま見るとしたら何を見たいのか、これからどのような行動をするのかが把握できる。
また、自社の顧客の動きだけでなく、競合他社の顧客の動きも見ることができる。こうした動きをみると、これまで見えなかった状況も浮き彫りになる。ビジネストラベルを行っている顧客を獲得するための航空会社のライバルは、実は別の航空会社ではなく、オンラインツールであったということも浮き彫りになったりする。いまの時代は、なにが起こるかわからないし、ひとつの正解があるわけでもない。そして、テクノロジーは産業のルールを大きく変える。消費者のうねりがどこにあるのかということを知ることが必要だ。
中小企業にもチャンス
デジタルインテリジェンスは、大手企業だけのものではく、中小企業も活用できる。SaaSの利点だ。
ひとつの変化は、連鎖した変化を起こす。ドミノ倒しのような数珠連鎖のなかで、そこにひとつでもブルーオーシャンを見つけ、自らの企業がフィットするものがあると判断したら、一番先に飛び込んで、最も選ばれる企業になればいいのだ。これは、中小企業こそ、得意とする領域だ。自らの強みを活かせる分野が、この大きな変化のなかで見つけられる可能性が高まり、それを見つける手段としてデジタルインテリジェンスが活用できる。
自転車に乗るように、デジタルを乗りこなす
デジタルインテリジェンスは、自転車と同じで、乗り方がわかるまでは使い物にならない。しかし、一度、乗り方を習得すれば、ペダルを漕ぐだけで、どこへでもいける。
過去の手法にこだわっているだけでは、変化の激しい時代に生き残ることは困難だ。そして、ブルーオーシャンを見つけることも不可能だろう。
まずは、自転車に乗る感覚を覚えるように、デジタルインテリジェンスを活用するための練習が必要だ。自転車に乗れるようになれば、世界は一気に広がる。新たな時代において、企業が成長するには、デジタルインテリジェンスを「乗りこなす」ことが必要不可欠な素養だといえる。
「デジタルインテリジェンスは変化が加速する時代の羅針盤」ではユーザーとの接点がオフラインからオンラインへと大きくシフトした今の企業に必要なオンラインでの顧客理解とリアルタイムでかつ
継続的なコミュニケーションについて触れている。今、注目されているSimilarwebの「デジタルインテリジェンス」について、SimilarWeb Japanの田中晃が、IT批評家でフューチャリストとして活躍する尾原和啓氏を招き、要諦を語った内容が記載されている。これからの「ブルーオーシャン」を見つけるためにぜひ、ダウンロードして読んでみてください。
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