eスポーツブームは日本にも来るか?世界のトレンドを探ってみる
1. eスポーツとは?
eスポーツとは、ビデオゲームに関わるすべてのスポーツ競技を包含するカテゴリーです。ゲーマーはチームまたは個人として活動し、競技には年齢制限のあるゲームや全年齢対象のゲームなどがあります。
日本での検索キーワードを分析すると、一般的に正確な単語(eスポーツ)を検索する人は主にウィキペディアに着地し、このトレンドについて知る可能性が高いことがわかりました。また、「eスポーツとは」が4番目に多く検索され、多くの消費者がビジネス系メディアサイトであるSBBIT.jpにアクセスしています。
また、「バーチャファイター」や「ぷよぷよ」など、日本のファンに愛されている作品名を含むキーワードがトップ3に入っており、年齢層の高い人たちによる検索行動だと思われます。
日本はビデオゲームの生産・販売国としては最大級であるにもかかわらず、eスポーツに関する国内の認知度は人口の50%強にとどまっており(Nippon.com)、このことは、世界最大のゲームに特化した動画配信サービスであるTwitchへのアクセス数を見ても確認できます。日本からのトラフィックシェアは15位にとどまっており、2021年1月以降の合計訪問者数の2%にも満たないのです。
2.世界のeスポーツ市場規模
世界のゲーム関連サイト上位100社の、2020年10月から2021年9月の1年間における合計訪問数は約7600で、昨年比で28%増加しています。2021年9月の訪問数は、Twitchが12億でトップ、次いでゲームプラットフォーム、ゲームマーケットプレイス、Chess.com順番となっていますが、Chess.comはNetflixで「The Queen’s Gambit」が公開された後、大きな復活を遂げています。
ゲーマーやストリーマーにとっては、依然としてデスクトップが選択されていますが、これはトレンドとは逆の傾向で、特にアジアでは利用者の増加に伴い、モバイルファーストのデザインが採用されています。
期間別のトラフィックボリュームの推移からわかるのは、パンデミック時のトラフィックの急増です。2020年2月からは、ロックダウンによってこの業界にはるかに多くのトラフィックがもたらされており、その流れは2021年に入っても継続、すべての月で前年を上回っています。
トラフィックのトップ10をピックアップして分析してみると、Twitchとゲーム開発サイトRobloxが、月間訪問者数とトラフィックシェアで大きくリードしています。
3. 世界で最も人気のあるeスポーツ・タイトル
2021年に世界で最もプレイされた5つのeスポーツゲームの公式サイトを見てみると、日本からのトラフィックシェアは、40位と他の国と比べると人口比と比べても、まだまだ成長余地がある、と言えそうです。Fortnite、Dota 2、Call of Duty、League of Legends、Rocket Leagueといったeスポーツは、「バーチャファイター」のようなタイトルマッチや「ぷよぷよ」のような長年のファンを多く持つゲームが多くの支持を得ている日本国内の市場への浸透には時間がかかるのかもしれません。
4.Twitchのトラフィックソースとゲームタイトル別トラフィック
一方、Twitchへの日本におけるトラフィックはこの2年間で3桁成長しており、2019年10月には1,000万未満だった訪問数は、が、2021年9月には2,500万近くと2倍以上の伸びとなっています。
日本とアメリカでは、ユーザーのTwitchへのアクセス方法が異なります。2021年のマーケティングチャネル別のシェアを見ると、米国の全訪問者の87%がブックマーク経由でサイトに直接アクセスしており(ダイレクト)、バックリンク経由でTwitchに到達するトラフィックは1%未満であることがわかります(リファラル)。
一方、日本のインバウンドトラフィックのうち、リファラルは5%を占めており、Twitchは視聴者を増やすために、特にゲームやライフスタイルに関する他のサイトと連携しなければならなかったことがわかります。これは、海外でのブランド認知度の高さと、導入期間の長さによるものと思われます。Twitchは2011年に設立され、日本では2015年になってから強力にその存在をアピールしだしました(Kotaku)。
日本のTwitch.tvにおける各ゲームに関連するすべてのURLをグループ化して、ゲームごとのトラフィックを見たのが下の図です。これを見ると、League of Legendsの重みがわかり、それだけで2021年の最も人気のあるゲームへのトラフィックの72%を占めています。これをを除外して見ると、それ以外のゲームの傾向がはっきりとあらわれてきます。
5.国内プレイヤーの動向
出遅れたかに見える日本のeスポーツですが、様々なプレーヤーが参入しマーケットを広げています。動画配信プラットフォームでは、Twitch.tvがグローバルでは圧倒的な存在ですが、日本独自のプレーヤーが利用者数を伸ばしています。また、ゲーム開発のカプコンは人気格闘ゲーム「ストリートファイターシリーズ」を活用したeスポーツ大会を開催したり、異業種のNTTドコモがeスポーツリーグ「PUBG MOBILE JAPAN LEAGUE(PMJL)」の運営に乗り出しています。そのほか、企業や自治体のバックアップによる高校生向けのeスポーツイベントも多数開催されるようになりました。
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動画配信プラットフォームの動き:twitch.tv vs openrec.tv vs mildom.com
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高校生向けeスポーツのトラフィック概要
6.日本国内でのeスポーツのこれから
矢野経済研究所の調べでは、日本国内でも今後eスポーツの市場規模が伸びていく事を予測しており、下記図の通り2018年から2020年には約140%の伸びを見せています。
2022年9月に中国・杭州で開催される第19回アジア競技大会では、eスポーツが初めて正式種目として実施されることが決定しています。「一般社団法人日本eスポーツ連合」がスポンサー企業とともに日本国内でのeスポーツを推進しており、このアジア競技大会でも日本選手を選出するようです。プロプレイヤーの育成など力を入れていくとともに、今後ますます市場規模も大きくなることが期待されます。
ご存知の通り、eスポーツの世界には、プラットフォーマーからインフラ、メディアまで様々なプレーヤーが存在します。シミラーウェブはそれぞれのデジタル上のトレンドを、世界や国のレベルで把握することが可能です。
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