【競合ベンチマーキング】競合は、なぜ成功しているのか?
自信のある製品やサービスができたならば、次の重要なステップは、競合他社の長期的な戦略や成果を測定しモニタリングする「競合ベンチマーキングプロセス」を継続的に実施することです。
なぜ重要か。それは、自社が競合に追いつき、上回り、重要業績評価指標(KPI)を達成するためです。
競合ベンチマーキングとは?
競合ベンチマーキングとは、類似のウェブサイトやアプリのデジタルパフォーマンスに関するデータを収集し、それを自社と比較することを意味します。そして、この情報を活用し、マーケティングや販売における課題の発見、成果が不十分なマーケティング戦略の要因特定、コンテンツ最適化の取り組みなどを明らかにし、プロセスの改善や新たな市場成長の機会を発見します。競合調査と競合ベンチマーキングは、業界のリーダー、業界の各種平均値、特定の競合に対する自社のポジションの把握などに役立ちます。
競合ベンチマーキングのメリット
おそらく、自社のパフォーマンス指標は十分に把握できています。Google Analytics は、サイトのパフォーマンスを可視化。売上指標は収益や成長を評価。そして、財務報告書は経済的な成果を測定します。しかし、自社の指標だけでは不十分です。モバイルが重要な昨今では、ウェブとアプリ全体のデジタル環境も把握する必要があります。これこそが、競合ベンチマーキングを行うメリットです。
例えば、自社のトラフィックが毎年10%の成長を続けているとします。一見すると、それは素晴らしいように見えます。しかし、もし競合他社が自社よりも2倍のペースで成長しているとしたら、自社の成長は不十分です。
次に、あなたのウェブサイトのトラフィックが毎年10%減少していると仮定します。それは当然、詳細に調査する必要がある理由になります。しかし、よく調べてみると、モバイルアプリのトラフィックとエンゲージメントが増加していることがわかり、それは理にかなっています。さらに良いことに、モバイルとアプリ全体でのトラフィックを競合他社と比較した場合、自社の方が全体のトラフィックシェアが大きいことがわかります。それは懸念ではなく、むしろ喜ばしいことではないか…とも解釈できます。
データを相対的に正しく読み取ることは、市場での機会、脅威、強み、弱みを評価するために重要です。
競合ベンチマーキングは、さまざまなエンゲージメント指標において自社の立ち位置を特定するために、効果的なツールです。また、あらゆるKPIに対するパフォーマンスを測定し、他のサイトと比較することで、正しく成果を評価できます。正しく実行すれば、業界内での自社のポジションを評価し、市場シェアを拡大するための不可欠なインサイトを獲得できます。
競合ベンチマーキングのメリットについて、詳しくはこちらをご覧ください。
競合ベンチマーキング指標
まず初めに、ベンチマーキングを始める前に、どの指標を基準にするかを決めます。
以下は、競合ベンチマーキングを行うために使用できる主な指標の例です。
ウェブサイトのトラフィック:競合他社の総訪問数、ユニークビジター数、重要なエンゲージメント指標(直帰率、訪問ごとのページ数など)
トラフィックソース:競合他社が各マーケティングチャネル(ダイレクト、リファラル、メール、オーガニック検索、ソーシャル、広告)を通じてどれだけのトラフィックを得ているか
キーワードパフォーマンス:競合他社のサイトにトラフィックをもたらしている主要なオーガニックおよび有料キーワード
地域別の分布:競合他社が国ごとにどれだけのトラフィックを得ているか
オーディエンスのデモグラフィック: 競合他社のオーディエンスの年齢、性別、興味関心
マーケットシェア:業界全体における競合他社のトラフィックシェア
リファラルおよびソーシャルトラフィック:競合他社がどれだけのリファラルトラフィックを得ているか、また主要なリファラルサイト
競合ベンチマーキングの方法
1.KPIを選定する
ベンチマーキングを成功させるための最初のステップは、KPIを特定するためのデータ収集です。SEOパフォーマンスを改善したいのか、新しい市場に進出したいのか、サイトのトラフィックを増やしたいのかを明確にし、代表的な指標を見つけ、1) 測定可能で 2) 現実的な目標を設定します。
以下は、競合ベンチマーキング指標として機能するKPIのアイデアです。
- ウェブトラフィックを__%増加させる
- 次の半年以内に新しいターゲット市場に向けて__個の新製品を発売する
- モバイルアプリの月間アクティブユーザーを__%増加させる
- ユーザーエンゲージメントを向上させる – セッション時間や成長率を__%改善する
- Androidおよび/またはiOSでアプリストアランキングを__%向上させる
- (指定したキーワードで)検索結果のトップ2に入る
- 「___」というトピックでシェアオブボイスを__%から__%に改善する
- ブランド認知度を向上させる – ブランドトラフィックシェアを__%改善する
2.適切な競合を特定する
次に考えるべきことは、「誰に対してベンチマーキングするか?」です。
目標を設定した後、ベンチマーキング戦略に適した企業はどれで、それをどのように判断するかが重要です。まずは、直接の競合と業界内の主要なプレイヤーを常に把握しておくべきです。しかし、KPIに関連する個別の指標に特に注意を払い、ベンチマーキング対象を掘り下げる必要があります。予想以上に自社に近い、または脅威となり得る企業を発見し、特定の分野で注視すべき場合もあります。
まずは、自社とビジネスモデルが似ている競合を特定しましょう。たとえば、規模、所在地、製品提供、ターゲットオーディエンスなどで比較する分野を選びます。自社よりも大幅に多くの製品を提供している企業と、全体的な収益を比較するのはあまり意味がないかもしれません。しかし、収益の増加率を比較することは有効です。
一方、業界リーダーに対してベンチマーキングを行うことは、市場での自社の位置を示す指標となるため、他の面で有益です。誰をベンチマーキングとするかは、無限大の選択肢があります。
以下は、競合の種類と、どの状況でどの競合に焦点を当てるべきかの例です。
同業他社の競合
ブランドの声を改善する方法や特定のトピックを評価する際に最も効果的なのは、自社と同様の製品を同じターゲット層に提供している競合、つまり「同業他社」を選ぶことです。彼らのパフォーマンスを自社と継続的に比較して監視する必要があります。
彼らの数値は自社と似通っている可能性が高いです。そのため、データの中からトレンドを特定し、自社に損害を与える可能性のある変化、または、自社にとって新たな機会に繋がる要素の特定が重要です。これによって、迅速に対応し、戦略を調整することができます。
業界トップの競合
自社が現時点では、カテゴリー内で最大かつ最良のサイトではない可能性が高いでしょう。目標を高く掲げ、業界で勝ち抜いているサイトと比較することを目指しましょう。
業界トップから比較分析をスタートすることで、自社のポジションや市場内での他社との位置関係を明確に把握できます。業界リーダーと他の競合を比較し、包括的な市場マップを作成することが可能です。
より詳細な市場調査を行うことで、業界リーダーの戦略を理解し、そこから学ぶことができます。
業界の破壊者(ディスラプター)
目標とするべき企業を「上に見て」インスピレーションを得ることは簡単ですが、時には「下に目を向ける」ことも必要です。自社よりはるかに小さい企業が、業界平均よりも速いペースで成長している場合、将来の脅威となる可能性があります。特別なパフォーマンスを発揮している企業や人を注視しましょう。この種の戦略的なベンチマーキングは、業界で次の大きな革新が何になるのかを見極めるために重要です(たとえば、モバイルアプリがその一例です)。彼らがどのような革新的な手法を用いて成長しているのかを分析し、どうやって自社がその先を行くかを検討します。
多くの業界において、何らかの形でアプリが影響を及ぼしています。しかし、ビジネスは新たなアプリが突如として業界に大きな影響を与えるまで、その動向を追跡しないことが多いものです。
SEOトラフィックを最も多く獲得しているのは誰か、成長しているのは誰か、アプリが自分のセクターにどのような影響を与えているのか…どのように見極めればよいのでしょうか。実は、これらを可視化するためのツールはいくつか存在します。
Similarwebを使うと、幅広いデータに関するインサイトを得られ、継続的にベンチマーキングすべき企業を簡単に見つけることができます。モバイルアプリのインテリジェンスを使用することで、ウェブおよびモバイルアプリのトラフィックを含め、競合のデジタル環境全体の完全な把握が可能になります。
3. 何を測定し、どのように実施すべきか
測定する具体的な指標は、目標によって異なります。
たとえば、SEOを改善する場合、競合のキーワードやキーワードグループに対するトラフィックを分析する必要があります。ブランド認知度を高めたい場合は、サイトへのダイレクトトラフィックを監視します。シェア・オブ・ボイスを拡大するには、特定のページにおけるトラフィックシェアを測定します。
重要なのは、関連する指標を時間をかけて追跡し、KPIごとの指標の数を少なくすることです。分析ツールを活用し、明確な視点を得られるようにしましょう。
次に、どの指標がどの目標に対応しているか、そして競合に対して測定、追跡、ベンチマーキングするためのツールを見てみましょう。
- ウェブサイトの成長:Google AnalyticsとSimilarweb Research Intelligenceを使用して、サイトトラフィックを追跡。
- SEOランクを改善:Similarweb Digital Marketing IntelligenceなどのSEOツールを使用して、SEOトラフィックが増加している競合と使用しているキーワードを特定。ランディングページを追跡し、どのようにそれを達成しているかを確認。
- ソーシャルフォロワーを増やす:競合のソーシャルページ(いいね数やフォロワー数など)をベンチマーキング。Mention、Hootsuite、Sprout Social、Socialbakersなどが有効なツール。
- 製品の認知を拡大:ニュースで競合を追跡し、製品の変化について情報を入手。Google Alertsに関連する企業名を入力し、ウェブで言及されるたびに通知を受け取る。TalkwalkerやBrand Watchを使って、企業のプレスリリースやウェブサイトも監視可能。
- 業界におけるアプリの影響:Similarweb App Intelligenceを使って、アプリカテゴリのクイック分析を実施。セクター内のトップ無料アプリ、トップ有料アプリ、トップ収益アプリを確認し、トレンドアプリセクションで市場内の人気アプリも確認。
- 既存のアプリを競合とベンチマーキング:競合アプリ分析を使用して、エンゲージメント、ランキング、ダウンロード数、月間および日間のアクティブユーザー、セッション時間、ユーザー保持率などの内部データを取得。
- 販売利益率を改善:Similarweb Sales Intelligence Solutionを使って、ROI改善の方法を見つける。競合の価格構造を調査し、どの戦略が成功しているかを確認。上場企業の場合、四半期ごとの財務報告書を閲覧可能。Crunchbaseなどのサイトを使って、競合が資金調達を行っているか、その金額も確認。
もちろん、Nielsenのような企業からレポートを購入したり、独自に調査を実施するオプションもありますが、これらは高額です。いくつかの異なるベンチマーキング方法を試し、最も自分に適したものを見つけることが重要です。
4.トラッキング
各目標や競合の種類ごとに別々のベンチマーキングレポートを作成しましょう(はるかに小さい企業や大きい企業を同じレポートで評価すると、混乱を招く可能性があります)。
測定のルーチンを設定し、最低でも四半期ごとに行うようにしましょう。定期的に指標がまだ関連性があるか、目標達成に役立っているかを再評価してください。市場や競合の動向を常に把握しておくことが重要です。もし自社が目標を追加したり変更した場合は、関連する指標を追加して競合ベンチマーキング分析を更新しましょう。
デジタル上のリサーチ力を向上
競合ベンチマーキングのプロセスは、あらゆるビジネスプランや市場調査において欠かせない要素です。この手法を用いることで、市場の文脈における自社のパフォーマンスを把握できます。また、改善すべき具体的な分野を特定し、変化や成長の機会を見つけることが可能です。定期的に競合ベンチマーキングを行うことで、ビジネス目標に沿っているかどうかを評価し、その目標が依然として妥当であるか確認できます。
Similarwebは、ウェブトラフィックの推定値、サイトのセグメンテーションレポート、エンゲージメント指標、アプリインテリジェンス、顧客獲得戦略など、あらゆる種類の競合分析に役立つ強力なベンチマーキングツールを提供しています。
もっと詳しく知りたい方は以下のベンチマーキングに関する記事をご覧ください。
よくある質問
競合ベンチマーキングとは?
競合ベンチマーキングとは、類似のウェブサイトやアプリのデジタルパフォーマンスに関するデータを収集し、それを自社と比較することで、業界リーダーや業界平均、特定の競合他社に対する自社の位置を理解するフレームワークです。
なぜ競合マーケティングが重要?
競合とのパフォーマンス比較を行うことで、トレンドを早期に把握し、それに応じてマーケティング目標を調整することができます。
モバイルアプリに対してどのように競合ベンチマーキングを行いますか?
10社の競合を選び、アプリをベンチマーキングします。追跡したい主要な指標(たとえば、月間/日間アクティブユーザー数、ダウンロード数、セッション時間、ユーザーごとのセッション数、アプリランキングスコア)を選びます。データを整理し、収集したデータを比較し、結果をもとに意思決定を行いましょう。
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