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Googleの絞り込み部分一致終了により予想される今後の変化は?

Googleの絞り込み部分一致終了により予想される今後の変化は?

   Googleは2021年2月4日、フレーズ一致と絞り込み部分一致の動作の変更と、絞り込み部分一致を段階的に廃止していくことを発表いたしました。

   2021年2月より、英語、ドイツ語、スペイン語、フランス語、イタリア語、オランダ語、ポルトガル語、ロシア語でフレーズ一致および絞り込み部分一致の新しいマッチング動作が導入されます。日本語での適用は2021年7月以降で予定されています。

   この発表は有料検索の利用者にとって大きな影響があると予想され、広告分析ツールを使用してのキーワード分析も、変化に対応して進める必要があることが考えられます。

   ここではGoogleの各マッチタイプと変更内容、移行に対応する方法について解説していきます。

4種類のマッチタイプ

まずはマッチタイプについて、おさらいしましょう。

現在、Google広告が提供しているマッチタイプは4種類あります。

  • 完全一致(Exact Match): キーワード設定時に [ ] で囲んで設定するもっとも厳格なマッチタイプです。ユーザーの検索クエリと完全に一致したキーワードのみがトリガーとなり広告が表示されます。
  • フレーズ一致(Phrase Match): キーワード設定時に “ “ で囲んで設定します。ユーザーの検索クエリが、登録キーワードと同じ語順である場合に広告が表示されます。
  • 絞り込み部分一致(Broad Match Modifier, BMM): フレーズ一致よりも柔軟なオプションです。 各単語の前にプラス記号(+)を追加して設定します。検索クエリには設定した単語が含まれている必要がありますが、語順は問われません。
  • 部分一致(Broad Match): 最も制限の少ないマッチタイプです。Googleが設定キーワードと関連性があると判断した検索クエリに対して広告が表示される可能性があります。

   キーワード設定の一般的なベストプラクティスは、部分一致でキーワードを開始し、キャンペーンや予算消化への影響が大きいキーワード群が出現したら、マッチタイプを変更して不必要な表示やクリックを避けることかと思います。例えば、絞り込み部分一致、あるいはフレーズ一致や完全一致を使用して、表示回数は少なくなるけれどターゲットとするユーザーのみに広告が表示されるように絞り込むことが考えられます。あるいは、掲載語句レポートをもとに自身では広告掲載を想定していなかったキーワードを新たに設定して、ロングテールキーワードでの訴求を推進することも戦略として考えられるかと思います。絞り込み部分一致が廃止されると、マッチタイプ変更を軸とした最適化について、方針を変更する必要が出てくることが予想されます。特に、フレーズ一致の活用が重要になってくるかと思います。

 

新しいマッチタイプ

   2021年7月には、Google広告で新しい絞り込み部分一致キーワードを作成できなくなります。それまでの間、移行期間として、Googleはフレーズ一致で、選択したキーワード以外の他の単語を検索クエリに含めることができるようにしました。 これにより、絞り込み部分一致とフレーズ一致の間にハイブリッドなマッチタイプが作成されます。

   以前の絞り込み部分一致キーワードでは、設定されたすべてのキーワードを含む検索クエリに対して広告を表示していましたが、今後は語句の順序も考慮されて広告が表示されるようになります。

Google広告ヘルプページでは次のように解説されています。

アップデート後は、フレーズ一致を使うだけで、不要な検索内容の混入を心配することなく、求める検索内容を幅広く捕捉できます。たとえば引っ越しサービスの広告で、東京から神奈川への引っ越しに関心があるユーザーにリーチしたいとします。アップデート後のフレーズ一致なら、たとえば東京から神奈川への引っ越しについて検索しているユーザーに広告を表示しても、逆に神奈川から東京への引っ越しについて検索しているユーザーは広告表示の対象にはなりません。

   以下は同じくGoogle広告ヘルプページで上げられている、更新後の変化としてあげられている例となります。

 

絞り込み部分一致キーワード 更新後は一致しなくなる検索クエリ
+履歴書 +サービス

+resume +services

履歴書に書いたほうがいい顧客サービススキルは

what are some customer service skills to put on a resume

+一番 +スニーカー

+best +sneakers

一番安い幼児向けスニーカー

best prices on sneakers for toddler

+使ったことがある +プリンタ

+used +printers

デイジー ホイール プリンタを使ったことがある企業

companies that used daisy wheel printers

 

フレーズ一致キーワード 更新後に一致する検索クエリ
ザンビアの観光

“holidays in zambia”

ザンビアの観光スポット

holiday spots in zambia

長袖ドレス

“long sleeve dress”

レースの長袖ドレス

long sleeve lace dress

女性用ブーツ

“womens boots”

サイズ 37 の新品女性用ブーツ

new womens size 37 boot

    検索クエリに絞り込み部分一致のキーワードが含まれていても、語順により意味が変わる場合、広告が表示されない可能性があります。また、フレーズ一致では設定フレーズの間に他の言葉が含まれていても、広告が表示されるようになります。フレーズ一致は、順序は引き続き考慮するという原則を残しつつ、絞り込み部分一致の役割も果たすようになります。

 

なぜこれがマーケターにとって頭痛の種になるのか

   Google広告は変化が速く、絶えず進化しているため、流行のアカウント構造と見なされるものはすぐに時代遅れになる可能性があります。これは特に、同じキーワードに入札するが、同じキャンペーンですべての異なるマッチタイプを使用する階層型入札の場合に当てはまります。新しいフレーズ一致の変更により、この戦略はアカウントが重複するキーワードに対して脆弱になり、長期にわたって維持することが困難になる可能性があります。

   新しい移行により、単一キーワード広告グループ(Single keyword ad groups、SKAGs)はさらに時代遅れになります。以前の構造のものはそのままにしておき、今回の変更に注力することを私たちからはアドバイスしたいと思います。

   この変更がもたらす不確実性に備えるために、定期的にGoogle広告アカウントにログインして状況を注視するとともに、基本的な除外キーワードリストを作成しておき、不必要な支出を避けることも有用な戦略となります。

   競合他社に先んじるための別の方法は、シミラーウェブのキーワードリサーチツールを使用することです。市場が変化しているときに、キーワード調査を行って市場と競合他社を監視することで、俊敏性を保ちつつ、過去から学ぶことができます。

(↓バナーをクリックして上位ランキングに表示されるためのキーワードを見つけましょう)*日本語ページにリンクされます

 

新しい時代の始まり?

 この変更は、多くのマーケターにとって驚きではありません。 Googleは過去にもキーワードに関する変更を実施してきました。

 マッチタイプの取り扱いに対して変更を加え、運用者は制御に苦慮してきました。古くは、類似語やスペルミス、機能語は考慮されていませんでした。昨年9月には検索語句レポートに対する変更も実施しました。クリックを獲得した少数のクエリがあっても、検索で使用されたボリュームの大きいクエリのみが検索語句レポートに表示されるようになりました。これらの一連の変更は、マーケターもユーザーが厳密に入力しているものではなく、消費者の意図はどこにあるかを探る姿勢が大切になってきていることを予感させているようです。

トラフィックを獲得するために、自動入札戦略とオーディエンスターゲティングへの依存度が高まる、新しい時代が来ています。

今回の変更に対応する上で大切なこと

 この変更の影響について心配する前に、次の内容を確認する必要があります。

  • アカウントは古いキーワード構造になっているか?マッチタイプの異なる同じキーワードに複数回入札しているか?
  • キーワードの順序が重要な業界にいるか?例えば、航空、引越し、物流業界が考えられます。
  • どれくらいの除外キーワードを設定しているか?広告クリックに無関係な検索クエリを打ち消すだけの十分な量を設定しているか。
  • ロングテールキーワードを探し出すことができるキーワードリサーチツールを持っているか?

 また、移行準備を進める上でのヒントとコツを紹介したいと思います。

  • 今回の変更を、現在のキーワードの「大掃除」の時間と考える。複数の絞り込み部分一致キーワードを設定している場合、今がトラフィックを評価してフレーズ一致に変更する機会です。
  • 検索語句レポートの結果を1日おきに確認して、新しいフレーズ一致にマッチするクエリを把握する。

 有料検索の状況が変化する中、柔軟なマーケティング戦略を遂行することがこれまで以上に重要になっています。ぜひデジタルマーケティングガイドをチェックして、有料検索広告の運用に役立ててくください。

*このブログは本ブログは Google Sunsets Broad Match Modifier. Is it the Start of A New Era?を翻訳・編集したものです。

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by Masayuki Suzuki | 鈴木 雅之

クライアントサクセスエンジニア

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