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NISAがもたらすトラフィック – 楽天証券の強さの秘密とは

NISAがもたらすトラフィック - 楽天証券の強さの秘密とは

前回のブログで、NISAがどれだけ証券会社各社のサイトトラフィックに貢献しているかを明らかにしました。その中で、証券会社の中で楽天証券が最もNISA関連キーワードからトラフィックを得ていることが分かりました。そこで今回のブログでは、楽天証券にフォーカスしてその戦略を探って行こうと思います。

まずは前回のおさらいです。

「NISA」を含む関連キーワードから流入のある上位100ウェブサイトで、全体の96%の訪問数を占めていました(2019年7月〜2020年6月)。そのうち、証券会社だけに絞って見た場合、以下のような構成になっていました。

1位の楽天証券は、証券会社全体のシェアの半分以上を占めていて圧倒的な位置にいます。2位のSBI証券との差は約3倍、3位のauカブコム証券との差は6倍以上です。この差があると、楽天証券の一人勝ちと言っても良いかもしれません。

楽天証券のサイトパフォーマンス

さて、そんな楽天証券はどうやってNISA関連キーワードを獲得出来ているのでしょうか。まずはサイト全体のパフォーマンスからチェックしていきましょう。楽天証券のサイトトラフィックは、過去3年間で以下のように伸びています。証券会社の中で最も伸び率の高いサイトとなっています。

NISA関連キーワードからの流入の多かったSBI証券、auカブコム証券、大和証券と比較して分析するとさらに際立って見えます。

楽天証券、SBI証券、auカブコム証券、大和証券の月間セッション数推移、日本、全トラフィック、2017年7月-2020年6月

過去3年の月間訪問数の推移 |オールデバイス | 2017年7月 – 2020年6月 | トラフィック&エンゲージメント

 

楽天証券が2020年3月に発表したプレスリリースによると、総合口座数はSBI証券が500万口座に対して楽天証券400万口座と、まだSBI証券の方が多いようです。しかし、Similarweb上の月間ユニーク訪問者数では2018年7月以降は楽天証券がSBI証券を越えています。実際の口座数とウェブ上のユニーク訪問数はリンクしていないことが分かります。このことから、SBI証券は実際にログインするアクティブユーザーの割合は高くないのかもしれません。

楽天証券、SBI証券、auカブコム証券、大和証券の月間ユニーク訪問者数推移、日本、全トラフィック、2017年7月-2020年6月

>過去3年の月間ユニーク訪問者数の推移 | オールデバイス | 2017年7月 – 2020年6月 | トラフィック&エンゲージメント

 

楽天証券のサイト訪問者数は、証券口座数ともリンクしながら直実に伸びていると言えます。このままの伸び率が続けば、月間訪問数でも業界一位になるのは時間の問題です。

その要因を探るため、競合他社と流入チャネルで比較してみます。NISA関連キーワードからの流入の多かったSBI証券、auカブコム証券、大和証券と並べて分析します。

楽天証券、SBI証券、auカブコム証券、大和証券の流入チャネル分布概要、日本、全トラフィック、2019年7月-2020年6月

>デスクトップ | 2019年7月 – 2020年6月 | サーチトラフィック>キーワードフレーズ

 

証券会社の場合、その証券会社で口座を開設した会員になったユーザーはブックマークしてサイトに訪問することが考えられるので、ダイレクトからの流入が一番多いことは自然なことです。楽天証券の場合、ダイレクトに次いで多いのがオーガニック検索でシェア18.19%になっています。他社は、それぞれSBI証券が13.94%、auカブコム証券8.23%、大和証券11.47%です。楽天証券は他社と比べても検索からの流入割合が多いことが分かります。上記は過去12ヶ月のデータですが、過去3年を振り返っても、楽天証券が全期間において一番オーガニック検索のシェアが高いです。

自然検索が増えたから全体の流入が増えたのか?

そのオーガニック検索をさらに細かく見ていきます。オーガニック検索トラフィックの昨対比(2018年7月-2019年6月 vs 2019年7月-2020年6月)は、138.32%でした。一方、サイト全体つまり全チャネル合計の訪問数の昨対比は138.94%でした。つまり、オーガニック検索は全体の流入における貢献が昨対比と変わらないことが分かります。モバイルのチャネルを分析しても、オーガニック検索のシェアが増えているわけではなく、むしろダイレクトの流入の割合が増えていることが分かります。

楽天証券のチャネル別トラフィック推移、日本、モバイル、2018年7月-2020年6月

>モバイル | 2018年7月 – 2020年6月 | サーチトラフィック>キーワードフレーズ

 

となると、特定のマーケティングチャネルが全体を牽引しているわけではなく、全体的にトラフィックを伸ばしていることになり、マーケティング施策全体が有機的に機能していると考えることが出来ます。

NISAの貢献度はどうだったのか

今回の分析のきっかけとなった「NISA」ですが、流入キーワードの中で貢献度はどれだけ大きいのか、その立ち位置を明らかにしてみましょう。最もインパクトの大きい検索キーワードが分かる「キーワードフレーズ」機能で調べると、 NISA関連キーワードは2.28%のシェアを占めることが分かります。

楽天証券の検索キーワードフレーズ、日本、モバイル、2019年7月-2020年6月

>デスクトップ | 2019年7月 – 2020年6月 | サーチトラフィック>キーワードフレーズ

 

楽天証券というブランドキーワードやログイン関連のキーワードが60%以上を占めますが、iDecoや投資信託と比べても、NISA関連キーワードの貢献度が高いことが分かります。よって、新規ユーザーを獲得する上での影響力はあると考えられると思います。

他社と比べてみると、それぞれSBI証券では1.28%、auカブコム証券は5.22%、大和証券1.19%でした。auカブコム証券の方がシェアは高いのですが、全体のサイト訪問数は楽天証券がauカブコム証券の13.6倍となっているため、楽天証券を凌ぐほどの大きなインパクトを与えることは出来ないようです。

 

まとめ

今回、NISA関連キーワードでの流入が目立っていた楽天証券を詳しく分析し、以下のことが分かりました。

  • 月間訪問数の伸び率は、証券業界1位
  • 月間訪問数はSBI証券について2位だが、月間ユニーク訪問者数は既に証券業界1位
  • オーガニック検索からの流入率が他社に比べて多い
  • 流入キーワードにおけるNISA関連キーワードのシェアも他社に比べて多い
  • ただし、オーガニック検索が全体の訪問数の伸びに貢献しているわけではない
  • マーケティング施策全体がうまく機能して全体の訪問数の伸びに繋がっている

 

引き続き当ブログで、マーケターの皆さまに有用な情報を提供していきます。

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by Ryo Taira

シミラーウェブ パートナーサクセスマネージャー

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