証券会社が推進するNISAがもたらすトラフィックとは
「NISA」を検索キーワードにした各ウェブサイトへのアクセス
日本において2014年から始まったNISA(少額投資非課税制度)は、一般ユーザーに新規口座を開設してもらうための入り口として証券会社各社にとって重要な役割を担ってきました。2016年には「ジュニアNISA」、2018年には「つみたてNISA」も始まり、株や投資信託といった金融商品へのはじめの一歩として証券会社各社もマーケティングにおける一つのフックとして利用してきました。そんな「NISA」を一般ユーザーが検索する際に、インターネット上での動きはどのようになっているのでしょうか。シミラーウェブ プラットフォームで得られるデータを見ながら、消費者の興味や各証券会社のパフォーマンスを見てみました。
「NISA」という単体のキーワードだと、そもそもNISAが何なのかについて調べたいユーザーが検索するというケースに縛られる可能性があるため、「NISA」を含む関連キーワードをシミラーウェブのKeyword Generatorを使って、キーワード群として分析しました(特定の証券会社名を含むものは除く。キーワード群の中身は300件のキーワード。)。過去12ヶ月(2019年7月〜2020年6月)の検索ボリュームは月平均162万回、検索から各サイトへの訪問者数は月平均209万です。
以下グラフは、訪問先となる各ウェブサイトの上位10サイトの推移を表したものです。
NISAの監督省庁となる金融庁のウェブサイト(fsa.go.jp)が最も訪問数が多く9.01%のシェア、次に楽天証券が同8.73%で第2位、3〜5位までをメディアが占めます。上位10サイトにランクインした証券会社は、2位の楽天証券と6位のSBI証券(シェア4.63%)のみでした。特に、楽天証券はシェアを年々伸ばしており、前比較期間(2018年7月〜2019年6月)では7.07%で5位でした。
「NISA」を含む関連キーワードから流入のある上位100ウェブサイトで、全体の96%の訪問数を占めています(2019年7月〜2020年6月)。その内訳を見ると、メディアが約54%、証券会社が約21%、金融庁が約9%、銀行が約4%、アセットマネジメントが約2%となっています。実際にNISA口座を取り扱う証券会社や銀行は、競合他社だけでなく圧倒的なシェアを誇るメディアに対してもSEOやコンテンツマーケティングで戦わないといけないことが分かります。
では次に、証券会社だけに絞って見た場合の勢力図を見てみましょう(上記と同期間、デスクトップのみ)。1%以上のシェアを得ているのは楽天証券、SBI証券、auカブコム証券、大和証券、の4社のみです。1位の楽天証券は、証券会社全体のシェアの半分以上を占めていて圧倒的な位置にいます。2位のSBI証券との差は約3倍、3位のauカブコム証券との差は6倍以上です。
ただ、上位4社以外の証券会社は実際にNISA口座を取り扱う証券会社といえども、NISA関連キーワード(自社名や商品名を含まない)で一般ユーザーをウェブサイトへ誘導することに苦戦していることが分かります。ちなみに、証券会社への流入キーワードTOP200のうち97.4%が自社名もしくは自社商品名であり、NISA関連ーワードはわずか0.32%しかありません。74位にようやく「積立nisa」が登場します。
インサイトから得られる取るべきアクションは?
証券会社としては、この状況をどう捉えて動くべきか、判断の分かれるところだと思います。他社もなかなか獲得できていないキーワードを好機と捉えて、積極的にリスティングやSEOなどに投資をするのか、それともNISA関連キーワードでの流入を無理に狙うよりも、確実に自社名や自社商品名で流入してもらったユーザーにサイト内でのユーザー体験を良くする投資を行うのか、どちらも考えられると思います。
また、NISA関連キーワードで最もトラフィックを得ていたのはメディアで約54%でした。メディアの中にはアフィリエイトサイトも含まれているので、メディアを活用したり、アフィリエイトパートナーシップを結んだりして自社ウェブサイトへ誘引するのも一つの手段だと思います。
さらに別の視点から見ると、上記テーブルにあるように、まだまだ為替や株の関連キーワードの方がNISAよりも流入をもたらしてくれていることが分かります。よって、為替や株の関連キーワードへのフォーカスを高めることも考えられる方向性だと思います。
証券会社が取るべきアクションまとめ
- 攻め:リスティングやSEOなどで「NISA」関連キーワードに投資
- 守り:サイト内のNISA関連コンテンツでユーザー体験を良くする投資
- 協業:NISA関連キーワードでの流入の高いアフィリエイトへの投資
以上、シミラーウェブ プラットフォームのデータに基づいて、NISAがどれだけ証券会社のウェブサイトへ貢献しているのか、また今後NISAをどう活用していくべきなのかについて見てきました。ここからさらに実際の売上情報と比較したり、個別のサイトにフォーカスして詳細な分析を行うことで、意思決定に必要な情報を獲得することが可能です。
今回の続編として、証券会社で最も良いパフォーマンスを残している楽天証券の詳細分析を次週にお届けします。
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