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【徹底分析】大手食材宅配サービスサイトのトラフィック推移とウェブ戦略とは?

【徹底分析】大手食材宅配サービスサイトのトラフィック推移とウェブ戦略とは?

近年、食材のECサイトでの購入がますます広がっています。
自宅やオフィスなど、場所や時間に制限されずどこでも手軽に注文できる利便性や、家近のスーパーやコンビニには置いていない地方の特産品も簡単に手に入るなどその豊富な品揃えが需要の拡大につながっているようです。

本稿では、生鮮食品や加工食品をオンライン販売している大手のサービスサイトを取り上げ、直近のトラフィックがどのように変化しているのか、また各社がどのようなウェブ戦略をとっているか見ていきます。

業界トラフィックは楽天西友、イオン、コープデリが上位3強

トラフィック上位10サイトのトラフィックの動向をまとめたのが下の図です。これを見ると、トラフィック自体は横ばい傾向にあり、2023年の1月から2月にかけては、訪問数が大きく減少しています。また、トラフィックシェアの上位3社は1年を通じて変化がなく、新しいプレイヤーが急速にトラフィックを伸ばすなどの大きな変動も見られません。

食材宅配サービスサイトの訪問数(22年3月〜23年2月、デスクトップ+モバイル)

  • 食材宅配サービス業界のトレンド調査を行ったところ、楽天西友ネットスーパー、イオンネットスーパー、コープデリの3サイトが全体の50%以上のトラフィックシェアを獲得し、他サイトを大きくリードしています。
  • 過去1年間のトラフィックは横ばいのまま推移していますが、2023年の1月から2月にかけて約20%の減少を示しました。上位の各サイトも、2月は揃ってトラフィックを減らしています。

パルシステムは毎月400万超の訪問を獲得。イトーヨーカドーは微減の傾向

それでは上位サイトの中から、パルシステム、食べちょく、オイシックス、イトーヨーカドーネットスーパーの4サイトをピックアップして、トラフィックの動向を詳細に見ていきます。

まず初めに、過去3年の訪問数推移を見ておきます。各サイトとも安定的なトラフィックを維持している点が大きな特徴です。その中でもパルシステムは、毎月400万超の訪問数を維持しています。

4サイトのトラフィック推移(20年1月〜23年1月、デスクトップ+モバイル)

  • パルシステムは過去3年間、毎月400万以上の訪問数を継続して獲得しています。
  • 2017年にサービスリリースした食べチョクは、この3年間でトラフィックが劇的に増加(1月の訪問数比較で+1,600%)。また、オイシックスも、一時的にトラフィックが減少する期間があるものの、順調にトラフィックを伸ばしています。
  • イトーヨーカドー ネットスーパーはトラフィックが微減しています。

リピートユーザー率の動きから集客戦略の違いを読み解く

次に、各サイトのリピートユーザーの割合に注目してみます。

毎月400万の訪問数を誇るパルシステムは、平均して50%弱のリピートユーザー率で推移しており、2022年の後半からはリピート率が上昇傾向に転じています。自社サービスのファンを確実に増やしつつあることが推測されます。

パルシステムに次ぐトラフィックをもつオイシックスは、パルシステムと同様に平均して50%弱のリピートユーザー率ですが、パルシステムと比較して、月による変動が大きいのが特徴です。これはキャンペーン施策の有無で新規ユーザーの獲得数が大きく変動しているためと推測されます。

リピートユーザー比率の月別推移(20年1月〜23年1月、デスクトップ)

  • パルシステムは比較的安定したリピートユーザー率で、ここ1年は上昇傾向にあります。オイシックスはパルシステムに近いリピートユーザー率ですが、月によるばらつきが大きく、キャンペーン依存型のトラフィックと推測されます。
  • 食べチョクは3年間でリピートユーザーの流入率が大きく増加していますが、割合としてはパルシステムやオイシックスより低く、新規ユーザーに依存したトラフィック構造といえます。
  • イトーヨーカドーネットスーパーは、4サイトの中では最も高いリピートユーザー率(60%超)です。これがネットスーパー特有の傾向なのかは、他のネットスーパー系のサイトの数字をさらに詳しく見ていく必要があります。
  • 共通の傾向として、毎年1-3月はリピートユーザー率が伸び、3-5月の時期は減少する様子が見られます。

オイシックスは有料検索とディスプレイ広告に積極的に投資

ここからは、各サイトの集客施策の違いをもう少し深掘りしていきます。マーケティングチャネル別のトラフィックシェアを見ると、オイシックスはオーガニック検索への依存度が4社の中では最も低く、有料検索とディスプレイ広告からより多くのトラフィックを獲得していることがわかります。

オーガニック検索への依存度が最も高いのは食べチョクで、そのトラフィックシェアは48%です。ただし、オーガニック検索トラフィックボリュームではパルシステムが240万訪問と最も多く、オイシックスの140万を大きくリードしています。

マーケティングチャネル別のトラフィックシェア(22年2月〜23年1月、デスクトップ)

  • オイシックスはオーガニック検索経由のトラフィックシェアが30%未満と比較的少ない一方で、有料検索経由のトラフィックボリュームは他社をリードしています。
  • オイシックスとパルシステムは夏から秋にかけて、ディスプレイ広告経由のアクセスが増えています。期間を限定したキャンペーン施策などで積極的な広告配信を行っている可能性があります。

食品・調理関連ワードに、オーガニック検索トラフィック拡大の機会あり

各サイトが獲得するオーガニック検索ワードの違いを分析するための一つのアプローチとして、食べチョクサイトへの送客がない検索ワードを抽出してみます。その結果が、下の画面です。

これらのワードは、「正月に関連する検索ワード」「調理目的ワード」「その他」の3つに分類できそうです。そして正月に関連する検索ワード群では、オイシックスがトラフィックシェアを独占しています。また、調理目的で検索に使われるワード群は、パルシステムがほぼすべてのワードでトラフィックシェアをリードし、また検索ユーザーの多くは料理レシピを提供するコラムページにアクセスしていることがわかります。

この結果からは、食べチョクには、食品・調理関連ワードでSEO対策を強化することで、トラフィックを拡大する余地があることがわかります。

食べチョクサイトへの送客がないオーガニック検索ワード(22年2月〜23年1月、デスクトップ)※指名検索ワードは除外

  • 正月関検索ワード:「お屠蘇」「おせち料理」
  • 調理目的検索ワード:「ブロッコリー レシピ」「生姜焼き レシピ」「キャベツ 豚肉」「ささみ レシピ」など

イトーヨーカドーは有料検索で「スーパー」「宅配」を押さえる

有料検索ワードでも、前のセクション同様に、食べチョクサイトへの送客がない検索ワードを抽出してみました。

その結果、調理目的で検索されるワード群では、オイシックスがトラフィックシェアでリードするものが多数あることがわかります。また、イトーヨーカドー ネットスーパーは、他のネットスーパーとの競合状況を踏まえて、必然的に「スーパー」「宅配」が含まれる複合キーワードを購入しています。

食べチョクサイトへの送客がない有料検索ワード(22年2月〜23年1月、デスクトップ)※指名検索ワードは除外

オイシックスの有料トラフィックの25%は、試用割引キャンペーン関連

シミラーウェブでは、有料検索ランディングページの動きを追跡することができます。下の画面は、有料検索に力を入れているオイシックスの、2023年1月における有料検索ランディングページのトラフィック上位ページです。

これを見ると、この月オイシックスは、「お試し割引」キャンペーンを展開していることがわかります(5-9位のLPが該当)。そしてブランドワード以外に、「食材」「お試し」「野菜 通販」などのキーワードを買っています。

オイシックスの有料検索ランディングページランキング(23年1月、デスクトップ)

アドネットワークはGDNとA8.netを主に活用

最後に、4サイトのアドネットワークの利用状況を確認しておきます。

最も多くのトラフィックを獲得しているのがGoogle Display Networkで、その大部分をオイシックスとイトーヨーカドー ネットスーパーが占めています。それに次ぐのがアフィリエイト広告のA8.netで、パルシステムが79%のシェアを獲得し、次いでオイシックスが13%となっています。

A8.netからのトラフィックをパブリッシャー別に分解したのがその下の画面です。これを見ると、各社がどのパブリッシャーを活用しているのかというレベルまで分析することが可能です。この結果からは、例えばオイシックスは、ライフスタイル情報を掲載するアフィリエイトサイトからトラフィックを獲得していることがわかります。

パブリッシャーから4サイトに送客するアドネットワーク一覧(22年1月〜23年1月、デスクトップ)

A8. netの上位パブリッシャー(22年1月〜23年1月、デスクトップ)

まとめ

今回は食材宅配サービスに絞って、主要なプレーヤーの集客戦略の方向性や具体的な施策を明らかにし、そこからどのようなインサイトが得られるのかをご紹介しました。このアプローチは、他のカテゴリのECサイトやCPGメーカーが、自社の競争力を高めることができる可能性を明らかにする場合に活用できるものです。

今回データを取得するために使用した、マーケティングチャネル分析、キーワード分析、ディスプレイ広告分析の各機能について、ご興味をもっていただき、さらに詳しい情報を知りたいという方は、弊社までご連絡ください。実際の画面をご覧いただきながら、ご説明させていただきます。

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