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業界新勢力のGymSharkとHuelが勝つために使った「戦略」

業界新勢力のGymSharkとHuelが勝つために使った「戦略」

ここ最近、ヘルス&ウェルネスのブランドが、英国で大きなデジタル飛躍を遂げている。若干19歳の創業者が両親のガレージで始めたフィットネス・ファッションの会社、GymSharkは、 2018年から2019年にかけて、PumaやReebokなどのグローバルブランドを足し合わせても追いつかないほどのウェブサイト・トラフィックを獲得している。一方、フィットネスのカリスマJulian Hearnが創業した、ヴィーガン食代替ドリンクを販売するHuelは、これまで世界80カ国で2,000万食を売り上げ、いまやカリフォルニア発のSoylentを押さえ、健康食代替ドリンクのグローバル市場を牽引する企業に成長した。

この2つのスタートアップが、業界トップをおしのけて成功した理由は何か。その答えは、オーガニック検索(SEO)と有料検索(PPC)の徹底したマーケティング戦略による、トラフィックの獲得だ。

  • GymSharkのトラフィックシェアは2年間で200%増加し、英国で3番目のビジネス規模となるスポーツアパレルブランドに成長。
  • オーガニック検索の約半分はアパレルブランドが独占しており、さらにその半分が英国関連のフィットネスキーワード。
  • Huel.comのグローバル全体のトラフィック(ユニークビジター数)は、2016年10月の47,000から、2019年10月の213,000と、3年間で352%の飛躍的な成長を遂げ、健康代替ドリンクのマーケットリーダーの地位を獲得。
  • 2019年に「Soylent UK」というキーワードによる検索の4件中3件のトラフィックはHuelのウェブサイトに流入。これは、Soylent社のトラフィックを獲得しようとする攻撃的なPPCキャンペーンによる。

英国No. 3のスポットを奪取

2017年、gymshark.com が英国のファッション業界全体で占めていたトラフィックはわずか約2%。2年間でそのトラフィックは200%増加し、Reebok(英国)、Under Armour(英国)、さらにはPumaを次々と追い越し、今や英国で3番目に大きいオンライン・フィットネスブランドに成長した。とはいえ、当然のことながら、上述の他ブランドは実店舗も構えている反面、GymSharkはオンラインのみで販売を行うブランドであることは念頭に置いておかなければならない。

顕著なオーガニック検索の成長

GymSharkがこれほどまでに急速にアパレル業界で頭角を現した理由として、真っ先にSEO戦略の成功を挙げるべきであろう。グローバル規模のフィットネスブランドがターゲットしている検索ワードは、主に米国の消費者を想定しているケースが多い中、GymSharkは、英国内に絞ってよく検索に使われる言葉を厳選した戦略を立てたことが特徴的だ。SEO戦略成功の結果、GymSharkは英国内で「最も検索されている企業」の一つとなっている。(フィナンシャル・タイムス紙:Gymshark sportswear brand looks to raise investment

GymSharkのオーガニック検索は対前年比で52%成長し、そのトラフィックはサイト全体の半分以上を占めている。gymshark.comがオーガニック検索とソーシャルメディアのリファラルから得ているトラフィック量の多さは、その他競合社との比較で約2倍となっていることからもわかる。これは、従来的なマーケティングチャネルよりソーシャルメディアを好む、ジェネレーションZ(Z世代)からの人気度が高いことにも関係があるかもしれない。上記以外にも、リファラル(76%増)、ソーシャル(71%増)、有料検索(50%増)など、対前年比で各チャネルのトラフィックは全体的に成長している。

検索キーワードで「勝つ」

GymSharkの急速な検索トラフィック成長は、地域特有の文化的要素(ここでは英国で用いられる表現)に関連する検索ワードを中心に据えていることが大きな要因として挙げられる。ブランドのSEO対策は、英国のアパレル市場を念頭に置いて考えられており、「gym wear UK」「gym bottoms」「sports top」など、地域を特定するキーワードや英国特有の表現でトラフィックを得ている。こうした対策は、業界のグローバルリーダーであるnike.comadidas.comでも行っているとはいえ、まだまだ米国向けの検索ワードが目立つのが現状だ(「workout gear」「clothes for workout」など)。

(上図)Gymshark.comは、メインとなる競合4社に対して、英国内における特定キーワードの検索トラフィックを「勝ち得て」きた。2018年11月から2019年10月の間に、たとえば「workout(ワークアウト)」や「Gym(ジム)」などの非ブランドキーワードについてそれぞれ61.57%、55.83%と、半分以上のトラフィックを得ている。さらにGymshark.comは、「Legging(レギンス)」や「Sport(スポーツ)」などのキーワードでも、それぞれ36.93%、13.71%のオーガニック検索トラフィックを得ている。とはいえ、まだまだ攻略されていない検索ワードは多くある。gymshark.comへトラフィックをもたらしているキーワードと、英国内競合社に対するそれを比較して、関連性の高いキーワードを見ると、GymSharkが未獲得だが今後攻略し得るキーワードが1,417件も存在している。例えば、「gym bag(ジムバッグ)」や「workout clothes(ワークアウト 服)」などがそれだ。

リードを奪う

英国のHuelと、米国のSoylentは、健康食代替ドリンク市場を牽引する二大巨頭だ。Soylentは2013年、Huelは2014年と、およそ同時期に創業された2社だが、当初はSoylentが業界のオンライントラフィックをほぼ独占していた。ところが、Huelが有料検索戦略に注力し始めたことで様相は変わり、さらに同社が成長的かつ継続的に、グローバル競合社のオンライントラフィックを獲得していった。

2016年10月には、グローバルで465,000の月間訪問数を獲得していたsoylent.comへのトラフィックは、3年後の2019年10月には137,000件まで落ち込んだ。その一方で、huel.comへのトラフィックは順調に増加を続け、2018年9月には、初めてHuelとSoylentの形勢が逆転している。(トラフィックのピークは2018年1月の397,000月間訪問数。うち254,000がユニーク訪問者数)。

トラフィックを「飲み込む」

Huel.comが意図的に競合社に属するオーディエンスをターゲットしたことは、同社の成長を支える大きな要因であったといえる。2017年11月から2019年10月の期間で、「Soylent」の単語を含むオーガニック検索トラフィックの5.9%、および有料検索トラフィックの92.3%がhuel.comへ流入しているのだ。これはHuelがSoylentからのトラフィックを「奪う」ために使った、非常に巧みなPPC(Pay-Per-Click)戦略であり、サイト内フォーラムやSoylentとの比較記事(Comparison to Soylent)などからもこの戦略を垣間見ることができる。

競合他社の戦略を知るためのガイドはこちら。Similarwebプラットフォームを使って、オーガニック検索やブランドキーワードから発生しているトラフィックを分析しましょう。

まとめ

競合力を挙げるためには、まず、競合他社の動向を把握することが肝要だ。本記事では、GymSharkとHuelの例をとって、業界の新規参入勢力が市場で「勝つ」ために使った、効果的なSEOとPPCを紹介した。GymSharkはターゲットするオーディエンスを狙うためのキーワードで成功し、またHuelは自社ならびに競合社のブランド認知度をうまく利用することで成功している。

*本記事は、Tomas Selikasが作成した市場分析レポートに基づいて執筆されています。
*本記事は、GumShark’s and Huel’s Secret Weapon for Winning the Competitionを翻訳したものです。

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by Daniel Schneider

Director, Content Marketing

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