Farfetchの日本での成功から読み解くECサイト成功の鍵
英国に拠点を置くFarfetch(ファーフェッチ)は、2007年、アパレルECサイトとして、ポルトガル出身の起業家、ジョゼ・ネヴェスによって設立されました。その後10年、farfetch.comは50億ドルとも言われるIPOの噂が真実味を増す中で、中国進出の準備を始めています。
日本市場は、2017年に月間訪問数(visits)が約100万に上るなど、farfetch.comにとっては5位に急伸した重要な市場とも言えます。対前年度比では、2017年のfarfetch.comへの合計トラフィックは2016年から74%の増加となりました。
同期間、日本におけるFarfetchのトラフィックは、継続してモバイルへと移行しており、2017年のモバイルシェアは3%以上増加し、58.5%を示しています。とは言え、数字が示すのはPCからのトラフィックの多さです。他の多くのサイトがモバイルからの集めていることを考えると、本サイトのPCへのトラフィックは高いと言えます。
エンゲージメント
farfetch.comのように、月間訪問数が2年間で174%増加した場合、エンゲージメントを犠牲にしていることがよくあります。多大なトラフィックの上昇は、主要なエンゲージメント・メトリックスを弱め、新たな訪問者が明確な期待を持たずに訪問するために直帰率は上昇する傾向にあります。2017年、farfetch.comは、エンゲージメントにマイナスの影響を及ぼすことなく日本でのトラフィックの増加に成功しました。直帰率が実際49%から45%に減少した一方で、1訪問あたりのページ数と時間は2016年比で変化はありませんでした。
トラフィックソース
2017年のトラフィックソースの内訳を2016年のものと比較すると、日本でのfarfetch.comの成功に寄与したファクターがはっきりと見えてきます。2017年、オーガニック検索がダイレクト・トラフィックを押さえ、サイトへのトラフィックの最大ソースとなりました。これは、偶然にもディスプレイ広告へトラフィックが増加した時期と一致している一方で、有料検索への勢いは減少しています。
最も多く使用された非ブランドキーワードを見てみると、Farfetchの必勝法がより明らかになってきます。彼らは、日本語と英語の両方で多くの主要ファッションブランドの検索を最適化しており、gilt.jpのような日本でダイレクト・トラフィックに大きく依存しているサイトとの競争に役立っています。
farfetch.comにトラフィックを呼び込む人気のある検索用語には、マルジェラ (Margiela)、トムブラウン(thom browne)、ヴェルサーチ (Versace)、ジバンシー(givenchy) そしてヨウジヤマモト (Yohji Yamamoto)などがあります。
結論
Farfetchは、過去24か月間で日本において大きな成長を遂げました。国内の消費者に、世界的に有名なブランドのファッションやアクセサリーを届け、また同時にそうしたブランド企業の日本における需要を生み出しています。
日本におけるfarfetch.comの重要な違いは、非ブランド検索への比重を増やし、ストックのある商品やファッションブランドに関連した幅広いキーワードからトラフィックを獲得しているところでしょう。
日本や世界各国で、ECサイトを運営するアパレル事業者は、オーガニック検索トラフィックの大部分をブランド検索に依存する傾向があります。これは、各サイトが競争の激しいマーケットにおいて、自社のブランド名を売り込んできたことによる、知名度向上の結果です。Farfetchは、日本国内だけでなく他の地域においても「Farfetch」という名前の知名度向上に力を注ぐ代わりに、消費者が求める洋服やファッションレーベルにフォーカスしてきました。この外側から攻める戦略こそが、日本におけるFarfetchの成長のカギなのかもしれません。
この記事は、2月20日に公開されたGoing Further with Farfetch in Japanを翻訳したものです。
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