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新型コロナで変わる消費者行動と外食チェーンが直面する課題

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新型コロナで急拡大する外食大手サイトへのアクセス

新型コロナウイルス感染拡大の影響をダイレクトに受けているのがレストランやファーストフードなどの外食産業です。店舗での飲食が控えられるなか、テイクアウトやデリバリーへの需要が拡大しているとみられていますが、インターネット上の動きはどのように推移しているのでしょうか。シミラーウェブ プラットフォームで得られるデータを見ながら、消費者ニーズの変化や外食事業者が直面する課題について考えてみました。

私たちの生活に最も身近な外食であるファーストフード、牛丼チェーン、ファミリーレストラン(以下、ファミレス)を例にとります。各社サイトへの訪問数の昨年同月比伸び率を下記にまとめました。昨年の「平常時」と比較して、ファーストフードと牛丼チェーンは大きく数字を伸ばしています。一方、ファミレスはロイヤルホストとデニーズが2月、3月とわずかですがマイナスを記録し、すかいらーくとサイゼリヤは3ヶ月ともプラスと明暗が分かれました。全体としては、昨年よりもトラフィックを大きく伸ばしていると理解してよさそうです。

では、何がこの増加に貢献しているのかを見てみます。2020年2月〜4月を昨年の同時期対比でみた訪問数の伸び率を、チャネル(流入経路の種類)別にまとめてみたのが下の表です。ぱっと見て明らかなのは、吉野家を除く9社では、有料検索(=リスティング)とディスプレイ広告からの流入は大きなマイナスを示しており、オンライン広告への予算投下を縮小していることがわかります。その一方で、大きく数字を伸ばしているのがオーガニック検索です。

ここに上げた10社のサイトを更に分析すると、いずれもオーガニック検索経由のトラフィックが70%以上を占めているという共通の集客構造をもっていることもわかりました。

この中で、牛丼チェーン3社に注目すると、流入チャネル別トラフィックは下記に示した通り、オーガニック検索の割合が3サイトとも70%を超えそれに次ぐのがダイレクトで20%前後、それ以外のチャネル経由からの集客の貢献度は合計して10%程度とわずかであることがわかります。

出前館、UberEats、楽天デリバリー、dデリバリー、tablechekの5つの、過去半年(2019年11月から2020年4月)の流入チャネル概要、日本、デスクトップ

この2つのファクトから、2月〜4月の各社サイトへの訪問者数増は、圧倒的に検索エンジン経由での流入が増えたことによると結論づけられます。

外食事業者にとっては消費者との接触機会が増えたことは大きなチャンス

では、消費者はどのような情報を求めて各社のサイトに来訪したのでしょうか、具体的に見てみましょう。今回ピックアップした10社のサイトにおける2月から4月の検索キーワードの中から、訪問数をより多く稼ぎ、かつ前月と比較して検索回数が増えている(プラスの変化率の高い)キーワードTOP100を抽出し、その中からブランドや商品名を含まないワードで出現回数が多いものをピックアップしてみました。

実際の検索行動は、これらキーワードとマクドナルドやデニーズといったブランド名(店舗名)との組み合わせで行われます。それを踏まえて推測すると、まず消費者はテイクアウトやデリバリー、あるいは通販といった非接触型のサービス提供の有無や内容を確認しようとしています。次に、店舗の営業状況やメニューを見にきており、予約や注文という具体的な消費行動結びつく可能性(モチベーション)が高い状態にあると考えられます。また訪問者数の増加率を考えると、平常時であれば外食事業者のサイトを見ることのない人達が、この時期だからこそサイトにきていると思われます。

消費者がブランドに接触する機会が、新型コロナの感染拡大をきっかけに増えたというのは皮肉なことですが、これを好機ととらえて対応することがアフターコロナを生き抜く鍵と言えるでしょう。

デリバリーの外部委託、どのサービスを使うべきなのか

上記のキーワード分析で見たとおり、テイクアウト予約やデリバリーサービスの提供は、具体的に対応すべきことの中でも優先度が高いと思われます。今では予約システムやデリバリーの外部委託サービスは、低価格でスピーディに導入できるインフラとなりつつありますから、小規模外食事業者にとっても導入の敷居は随分と下がっています。

例えばデリバリーサービスの場合ですと、出前館、UberEatsなど選択肢はたくさんあります。その中でどれを選べばいいのか、観点は事業規模や導入コスト、運用性など様々ありますが、サービスとしての集客力に注目するというのも一つの観点です。

現在主流の出前館、UberEats、楽天デリバリー、dデリバリー、tablechekの5つの、過去半年(2019年11月から2020年4月)のトラフィック推移を見てみると、大きくトラフィックを伸ばしているのは、出前館とUberEats、その一方でデリバリーも含めた飲食店向け予約顧客管理システムを提供するtablecheckは徐々にトラフィックを失っています。

出前館、UberEats、楽天デリバリー、dデリバリー、tablechekの5つの、過去半年(2019年11月から2020年4月)の月別訪問数、日本、デスクトップ

出前館とUberEatsがユーザー数を増やしているのは、テレビCMの露出を考慮するとうなずけるところですが、では各社がネット上でどの程度プロモーションに注力しているかを見てみます。下のグラフは流入チャネルの数値ですが、出前館はネット上でも最も有料広告に多くの費用を投資していることがわかります。

出前館、UberEats、楽天デリバリー、dデリバリー、tablechekの5つの、過去半年(2019年11月から2020年4月)の流入チャネル概要、日本、デスクトップ

この結果を見ると、出前館はテレビとネットの両方で積極的なプロモーションを行っており集客力が高い、またUberEatsもテレビCMでの露出があり集客力も高いということが見てとれます。外食事業者の自社サイトからだけの顧客獲得だけでなく、サービス提供社からの集客を望めるという観点からは、出前館とUberEatsが他社より優位にあることがわかります。

以上、シミラーウェブ プラットフォームのデータに基づいて、新型コロナウイルス感染が拡大する中での外食事業者サイトの状況や消費者ニーズの変化について見てきました。ここからさらに実際の売上情報と比較したり、個別のサイトにフォーカスして詳細な分析を行うことで、意思決定に必要な情報を獲得することが可能です。引き続き当ブログでも、ご覧いただいている皆さまに有用な情報を提供していきます。

by Senzo Tanaka

マーケティングマネージャー

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