【ディップ株式会社】人材サービスの“市場全体”を見て改善しているか?
「そもそも、競合比較は自社のデータだけで考えると、数字の伸びの良し悪しが判断しづらいです。」
「バイトル」や「はたらこねっと」などを運営しているディップ株式会社。
その中で、サービス全体のデータを分析されている、商品開発本部 CorpDX統括部 dip data design. Lab Data Brain課 エキスパート 高橋様にインタビューを実施。
「競合と比較し、自社の上がり方や下がり方を判断することが重要です。上がっているけど競合がもっと上がっていれば喜べませんし、下がっていても競合がもっと下がっていれば大きな問題ではないかもしれません。このようにして競合調査が必要だと判断していますし、そこでSimilarwebが必要となってきます。」
競合ひしめく人材サービス市場を、どのように分析しているのか。その実態について、伺いました。
>> 日本の導入事例はこちら
なぜ、Similarwebを導入したのか?
━━━御社の事業について教えてください。
私たちdipは夢とアイデアと情熱で社会を改善する存在となることを、企業理念として掲げています。
具体的な事業としては、求人情報サービスである「バイトル」や「はたらこねっと」を運営しており、求職者と企業のマッチングを行っています。
さらに、これらのサービスと並行し、「Labor force solution company」というビジョンを持っています。これは、労働市場における諸課題の解決方法として、人をマッチングさせることだけではなく、DX(デジタルトランスフォーメーション)を通じて、人が介在しないで解決できる領域を、SaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)商品で対応するというものです。
関連情報:「Labor force solution company」について
労働力の課題を解決する目的のSaaSを社内で開発し、クライアントに提供しています。
例えば、面接の日程調整も、従来のように電話で「何日が空いていますか?」といったやり取りをするのではなく、スマートフォンで面接可能な時間を簡単に調整できるようにしています。
これにより、人対人でのやり取りが減り、クライアントがかけるコストを削減できる。求職者も自分の都合に合わせた日程を迅速に決定できます。
━━━ありがとうございます。その中で、高橋様の業務について教えてください。
私は現在、求人情報サービスの領域を担当しています。
「バイトル」や「はたらこねっと」などのサービスを通じて、求職者にサイトに訪れてもらい、仕事を探して応募してもらう一連の流れの最適化を担当しています。
また商品開発本部では、SaaSも手がけています。WEBサービスを開発するための企画者やデザイナー、SEO担当者が集まっているのが商品開発本部であり、私はその中の一員です。
私の役割はデータアナリストであり、「バイトル」と「はたらこネット」の2つのサービスに対して、企画者やマーケティング担当者にデータ提供を行っています。
具体的には、企画者やマーケティング担当者の方々に対して「次に何をするべきか?」、結果として何が起こっているかを客観的な情報としてまとめて共有しています。
サービスごとに毎月目標があり、目標に対して、今月の効果がこのペースでいけば達成できるのか、達成できない場合、要因は何なのかを分析し、改善を図ります。
例えば、流入経路で分けたときに、メルマガからの流入が減っているのか、広告からのサイト訪問後のコンバージョン率が下がっているのかなどの要因を特定する。
もし問題があれば、具体的な日にちやデータを示して「ここでエラーが発生しています」と明確にすることで、対応を促します。
━━━多くのチェックポイントや指標を日々モニタリングされていると思いますが、これらは仕組み化されて運用されているのでしょうか?
ある程度、仕組み化ができています。
現在、毎週月曜日に週報という形で先週までの状況をまとめています。同時に、先週までの実績を元にした目標に対する予測も出しています。
それを関係者、マーケティング担当や企画担当に共有し、早ければその週に対策を実行します。
━━━Similarwebをご導入された背景を教えてください。
Similarwebの導入理由としては主に、競合比較になります。
現在、先ほどの週報の状況確認に関しても、毎週Similarwebを使って向こう3ヶ月の状況を見ています。
見ているデータとしては、主にセッション数を見ており、今日の自社のセッションと競合のセッションがどのように動いているかを分析する。
例えば、自社のセッションは横ばいなのに競合は上がっている場合。Similarwebで競合と自社の経路を比較分析すると、広告による増加が見られる、といったことがわかります。このようにして、競合が広告を強化していると判断します。
その先に必ずしもアクションを起こすわけではありません。ただし、競合の変化が大きかったり長かったりする場合には、自社の広告強化を検討することもあります。
あえてアナログな週報のワケ
━━━毎週のデータを定型化し、チームに共有して行く中でどのような工夫をされていますか?
前提として、サービスに関わる人たちが、全体の目標に対してしっかりと意識を持ち、実績や達成率などの数字を頭に入れることが、週報を運用している理由の一つです。
この「数字を頭に入れる」という点に関して、実は少しアナログな手法を取り入れています。
週報の中に出てくるデータの更新は、すべてを自動化せず、一部アナログなデータ入力要素が必要なつくりにしています。
なぜなら、すべてが自動でつくられてslackなどに流れてくるだけだと「それを見るだけ」となり、記憶に残りにくい。あえてアナログに入力することで、重要なデータが記憶に残ることを期待しています。
また、こういった目的もあるので、この作業は一人で行うのではなく、交替制でみんなで行っています。
━━━仕組み化された数値を見て行く中で、そこから改善に至った事例などございますか?
色々あります。例えばSEO周りのデータを見ていた際、オーガニックからのコンバージョンの調子が悪いと感じました。
その場合、まず流入とコンバージョンのどちらに問題があるのかを確認します。
流入が前年と比べてどうかを確認し、市場全体が落ち込んでいるのかをGoogleトレンドとSimilarwebのデータで確認。
次に、市場自体が減っていない場合、市場内のシェアが減っている可能性を考え、競合のセッションが増えているかをSimilarwebで確認します。
そこでも変化がなければ、オーガニックの場合はキーワードやランディングページの変化をSEOツールで確認します。ランディング後のコンバージョン率に関してはAdobeAnalyticsで確認し、改善を講じます。
このように、Similarwebを使って市場全体を捉えないと、データの変動の本当の原因を見つけることはできません。
市場全体を見て改善策を講じた例ですと、コロナ禍での実例があります。
当時、緊急事態宣言が出されると、業界全体で仕事を探す動きが変わりました。飲食業は自粛で働けなくなりますが、お金が必要なためアルバイトを探す人が増えます。このような状況で、自社のデータだけを見ていると、変動の背景を理解するのは難しい。
競合と比較し、自社の上がり方や下がり方を判断することが重要です。上がっているけど競合がもっと上がっていれば喜べませんし、下がっていても競合がもっと下がっていれば大きな問題ではないかもしれません。
このようにして競合調査が必要だと判断していますし、そこでSimilarwebが必要となってきます。
━━━他にも、Similarwebを活用した具体的な事例はございますか?
競合サイトのビジネスモデルとその実態を調査する際にも使っています。
例えば、とある競合のサービスは、自社の他のサービス内で送客し合っています。Similarwebで流入トラフィックを見ると、自社サービスからの流入がわかります。
これにより、競合の送客の仕組みやビジネスモデルが理解できる。単にサイトのトラフィックを見ているだけでは意味がありません。重要なのは、どこから来ているかです。
競合比較は自社のデータだけで判断しづらい。
━━━Similarwebのような第三者データ、つまり外部データを扱う際に苦労されることはありますか?
特に苦労はしていません。
ツールが違えば、数値の絶対数は異なります。
なので、自社のセッション数はAdobeAnalyticsの値を正として使い、Similarwebは相対比較のために使用するように、使い分けています。
社内で共有する際はそこが混同しないよう、Similarwebのデータを使ったグラフには「これはSimilarwebのデータです」と記載します。実数値も強調せず比率を使います。
━━━Similarwebを導入する際、他の第三者データのツールとも比較されましたか?
導入した数年前には、他のツールとも比較しました。
実数値と各々のツールの数はどれも一致しませんでした。ただ、実数値と各々のツールが出す差の変化を観測した際、Similarwebが最も差に変化がなく、信頼できるツールでした。
これまで、大きな乖離が出ることはありませんでした。
━━━今後さらに、Similarwebに期待することはありますか?
モバイルでの対応強化を期待しています。現在、PCとスマホのデータを切り替える際に、PCの方ができることが多いです。スマホでも同様の機能が使えるようになると嬉しいですね。
例えば、マーケティングチャネルを確認する際に、現状では先月のデータしか見れないため、直近のデータも見たい。
デスクトップでは比較的直近のデータが見れますが、人材サービスはモバイルがメインなので、全体の数字が共通の動きをしていることを確認したいです。
先週の競合の動きを見たいとき、モバイルでは先週のデータがないため、デスクトップで競合の動きを確認しています。
例えば、全体的に広告のトラフィックが増えている場合、モバイルでも同様に増えているのかを推測しています。
全体としてトラフィックが増えている理由を探った際、デスクトップのデータを見ると広告が増えていたならば、恐らくモバイルでも同様に増えているのではないかと推測して捉えています。
━━━Similarwebの導入を検討されている方々に、ぜひメッセージをお願いします。
そもそも、数字の変化の良し悪しは、自社のデータだけでは判断しづらいです。
仮に自社データの調子が良かったとしても、競合はもっと伸びている可能性もあります。知らない間に、競合が良いポジションにいることもある。
そのため、競合の動向を把握する視点を持つことが重要です。
スタートアップで新しいジャンルを始めた場合は、競合比較の必要性は低いかもしれません。しかし、明確な競合がいる業界では、全体のポジションを把握することが必要です。
これらを把握する際に、ツールが必要となってきます。
どのツールを使うか迷ったら、実際の生データと突き合わせて検証することをお勧めします。多機能なツールでも、基礎となるセッションデータが正確でなければ意味がありません。
機能比較よりも、最も重要な基礎データの信頼性を確認することが大切だと考えます。
これを調べることで、自然とどのツールを選ぶべきかが見えてくるのではないでしょうか。
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