導入事例

【ピープル株式会社】変遷:なぜ、玩具メーカーはデータマーケティングに取り組み始めたのか?

【ピープル株式会社】変遷:なぜ、玩具メーカーはデータマーケティングに取り組み始めたのか?

「主要な3つのデータは「購入者データ」「相対データ、」「見込み客の意見」。これらのデータを単独で使うのではなく、それらを行き来しながら物事を考えることが有効です。」

2020年5月よりSimilarwebを活用し始めた、玩具メーカーであるピープル株式会社。

前回「なぜSimilarwebを導入したのか?」をテーマに、お話を伺いました。

今回はSimilarwebのみに焦点を当てず「そもそもなぜ、データマーケティングに取り組み始めたのか?」、その背景について、プロモーション戦略部の岩崎様にインタビューを実施。

伺っていくと、2017年からデータマーケティングの取り組み始めた背景は「CMの利益構造の弱点」「競合の存在」「SNSの普及」の3つ。

なぜ、この3つに辿り着いたのか。また、どのように課題解決に至ったのか。

これからデータマーケティングに取り組む、取り組み始めているBtoCメーカーの方々にとって参考となる“メーカーのリアル”について伺いました。

※前回のインタビューはこちら

【ピープル株式会社】なぜ、売れなかったのか? | 玩具メーカーのデータドリブンマーケティング手法とは

データマーケティング導入のきっかけは「CMの利益構造の弱点」「競合の存在」「SNSの普及」

━━━岩崎さんはなぜ、ピープル株式会社に入社されましたか?

就職活動当時はエンタメ業界に興味があり、エンタメを軸に会社を探していました。その時、大学に説明会の案内が来ていたのがピープル株式会社。ご縁を感じ、入社しました。

入社後の最初の2年間は商品企画部門におり、商品を2〜3種類発売した後、子供用の自転車や三輪車を扱う部署に異動。

その後5年間、子供用の自転車を担当し、2019年には本部署にて「Similarwebを導入したい」と、会社に提案しました。

━━━では、子供用自転車の事業に異動されてから、データマーケティングに取り組み始めた?

そうですね。子供用の自転車の事業に関わって3年目ぐらいから「モノを作るだけでなく、マーケティングやデータが必要だ」と感じ始めました。

私が子供向け自転車の部署に異動して数年たった2017〜2018年頃から、子供向け自転車市場自体が下降気味で、苦しい市場状況になり「弊社も何かしなければ」と考え始めました。

まず取り組んだのが、リブランディングです。

2017年ぐらいから準備をして、2018年に一斉に商品を入れ替えたり、ウェブサイトを別で立ち上げたり、広告をデジタル施策にシフトしました。

弊社の広告戦略は、リブランディングに着手するまでTVCMと大手出版社の紙の雑誌に重点を置いていました。

2020年からはデジタル施策を強化し、育児系デジタルメディアとの取引も始まりました。これに伴い、専用の広告部門が新設され、私もそこへの配属が決定しました。

私は2023年頃まで自転車の広告担当を継続し、Similarwebは自転車事業でよく使っていました。

なので、子供向け自転車の不況をきっかけに、2017年頃からデジタル化を画策し始め、2020年、一気にデジタル化が進みました。

━━━何がきっかけで、一気にデジタル化が進みましたか?

きっかけは、「CMの利益構造の弱点」「競合の存在」「SNSの普及」でした。

2017年当時、CMの15秒では全く伝わらないのではないかという感覚がチームにありました。「15秒では情報量が多すぎて、何も伝わらないのではないか?」という懸念があった。

また、春とクリスマスにCMを放映すると、広告費をほとんど使い果たしてしまう。

CMの利益構造に加えて、とある競合の存在がありました。当時、その競合は勢いを増しており、自社では「競合は何をやっているのだろう?」と、競合の状況がわからなかった。

中でも競合はデジタルマーケティングに力を入れているように見えました。しかし「入れているように見える」だけで、その実態を定量的に掴むことは、Similarwebを導入するまでわからなかった。

そして、時期的に「インスタグラマー」という言葉が盛り上がったのもきっかけの一つです。

Instagramについてお付き合いのある広告代理店に聞くと、「Instagramの広告費は最低このくらいから可能だ」と教えてもらい、試してみる分には出せる金額だと思いました。

前述したように、CMを行うと広告費が全部消えてしまいます。一方、SNSの広告であれば少額で始めつつ、色々と実験ができる。

このようなきっかけが重なったのが、2017年末から2018年初頭頃でした。

加えて、個人的にはとあるマーケティングコンサルタントとの出会いが、デジタル化、ひいては客観的データや思考に拍車をかけました。

「ブランドとして事前に接触をし、売り場に来る前に欲しい人に選んでもらう必要がある」

━━━どのような出会いでしたか?

以前、マーケティングコンサルタントの方が弊社にアドバイスをくださったタイミングがありました。その時、Similarwebなどのソフトウェアを導入する前に、まずは相対的なデータを取りました。

2017年頃です。

相対的に弊社を見ると、私が思っていたことと「こんなに違うのか…」と気づきました。また、購買ファネルを算出し、どこにボトルネックがあるかも相対的に把握する。

その時、ボトルネックに適したCMができていないことに気づきました。CMで自社の商品を説明しようとすることが目的となっており、本来達成すべき目的からずれていた。

そこで「CMは見直しが必要だ」との決断に至ります。

2017年当時、何が最適解かはわかりませんでしたが、今までやってきたことの延長線が解ではないことがわかりました。

そこから初めて、ターゲットセグメントという概念がチームに入ってきた。

CMは認知の幅が広く、一人当たりリーチに対するコストパフォーマンスは高いメリットはあるものの、ターゲットが絞りきれませんでした。

━━━その辺から、客観的データや相対的データを探し始めた?

2017〜2018年頃、弊社は子供向け自転車に対し「この新しい商品には絶対に可能性がある」という判断をしました。これは主観を多分に含む判断ですが、長く事業をやっている中での感覚値があります。

その際、「自信はあるが、事前に市場と競合のリサーチは必要だ」ということで、事前調査を実施。

競合の状況を見ていく中の結論の一つとして「ブランドとして事前に接触をし、売り場に来る前に欲しい人に選んでもらう必要がある」との考えに至りました。

━━━事前調査は、具体的にはどのような調査をされましたか?

これはマーケティング会社の方と一緒に行い、彼らから「こういうことをしてみてはどうか?」と提案され、確かに知りたいと思いました。

具体的には選択肢式の調査で、後にクロス集計を行い、最終的に結果を算出できるようになっていました。

それなりにお金をかけ、サンプルも大きく取って調査を実施。各ブランドについて、数百名の購入者が出現するように設定して調査を行いました。

これが、さきほど述べた購買ファネルの調査結果、ひいてはCMの利益構造課題にもつながります。

この調査を行わなければ、自社の課題に気づかなかったでしょう。

━━━現在のデータマーケティング推進につながる、重要なアクションでしたね。

2017年当時は、恥ずかしながらマーケティング的な思考に欠けていました。

弊社は子どもの行動を非常に観察していて、そこから商品を作ったりしています。子どもはとても集中して遊び、喜んでくれます。だた、これが売れる理由にはなならない。

━━━子供が喜んでも売れないのでしょうか?

子どもが喜ぶということを、購入者である親御さんに伝えなければなりません。

偶然伝わっていたものが売れてきたという背景がある。しかし、ポテンシャルがあっても売れなかったものは、親御さんに伝わっていなかったことが多かったです。

繰り返しですが、子どもは与えれば遊び、夢中になります。しかし、それは購入後の姿なので、購入前にうまくコミュニケーションが取れずに売れないということがありました。

━━━子供に好かれても、親御さんにリーチしなければ売上はたたない。そのような背景から、リブランディングに至ったのですか?

子供向けの自転車は、リブランディングによっておおよそ良い方向に向かったのではないかと思います。一定の成果は上がったというのが社内的な評価です。

マーケティングは、商品を売れるようにすることだと考えています。

しかし、弊社では実際に商品で遊ぶ(使用する)子供たちのことを重要視するあまり、お金を払う人ご家族の体験構築がおろそかになり、CMのように固定化された手法が存在していたことも要因だと考えています。

商品を発売してからCMをやることは決めていますが、その後のフォローはあまりできていなかった。

CM効果による、購入量の初速を見て「この商品は続けよう」「この商品は対策が必要だ」と、判断することが多かったです。

━━━CM後の購買量の初速が、商品販促の決め手だったのですね。

弊社は自社の商品を直接販売していない。流通業者におろしておきます。その時、基本的に全く売れない商品を1年も待ってくれることはありません。

売れない商品は、棚から落ちていく。

売れ続けていくためには、流通に頼るだけではなく、自社が消費者へ直接コミュニケーションを図る必要がありました。

2017年から最初の3年間は、デジタルへのコミュニケーション設計を段階的に強化する方針でした。

ただし、自転車事業においては、大きな方針転換を実施。CMの放送を停止し、デジタルマーケティングに予算の80%を投じました。

残りの予算は雑誌広告にのみ使用しているというほど、大きく方針を変更しました。

アナログからデジタルへ

━━━アナログへの広告予算が100%だった過去から、デジタルに80%切り替えた。かなり大きな意思決定ですが、その背景において、社内でどのようなやりとりがありましたか?

発端は、社内会議での提案です。

従来の子供用自転車市場に対応し、顧客が店舗に訪れて商品を選び、購入する流れは今後持続しないと考えました。

そこで、新たなブランディング戦略を試すことにしました。

ウェブサイトでは、取扱店舗や商品情報を網羅的に提供することで、すべてが分かりやすくなるよう努める。確実に商品を求める潜在的な顧客が存在すると考えていましたが、彼らが実際に店舗で商品と出会えるかは不明瞭。

商品を実際に買う店舗では、商品に詳しくない顧客にとっては分かりにくいものです。店頭に行っても、商品を理解するのは難しいでしょう。

そのため、顧客は店員のおすすめや好みの色を聞くしかありませんでしたし、子供のサイズと予算に合う商品を選ぶことが主な意思決定基準でした。

商品をしっかり説明すれば「本当はこの商品を買いたかった」と思う人も多いかもしれませんが、現実はそうではありません。

たとえ店舗に20種類の自転車があっても、顧客がすべてを見ることはありません。

私たちが積極的に顧客と出会う努力をしなければ、ユニークなニーズを持つ顧客に見逃されてしまう。

そこで、より効果的なデジタルマーケティングへと移行しました。

━━━そこから、デジタル施策が加速していった?

TVCMも使い方次第で効果があったかもしれませんが、予算的に自転車の事業にはROIが合わなかった。

そこで新しくサイトを作成し、商品のリニューアルを行いました。何車種かを一度に発売し、既存の商品と新製品を同時にリリース。

加えて、自転車専用のカタログを新たに作成しました。

この一連の活動を2018年に開始し、続けていく中で「デジタルマーケティングがうまくいったのではないか?」と、デジタルマーケティングに対するポジティブな雰囲気が作られていった。

広告施策がデジタルへとシフトしており、自転車部門も既に1年が経過した頃、やることがある程度固定化されていた中で、新しいアイデアを探していました。

しかし、具体的なアイデアについてはあまりピンと来なかった。

そんな中、デジタル系の展示会に足を運んだところ、Similarwebのような「競合情報が得られるツールがある」ということを知り、詳しく聞いてみた。

それから様々な「競合調査ツール」を調査していく中で「Similarwebが最も良い」と至り、2020年に導入しました。

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━━━2018年頃から本格的にデータマーケティングが進みましたが、2018年を境に扱うデータ、観測するデータは変わりましたか?

以前はハガキによる、購入者のアンケート結果がデータのメインでしたが、こちらも近年電子化しました。

現在、メインはGoogleアナリティクスとSimilarwebのデータです。また、デジタル広告の導入により、デジタル広告関連のレポートの量も増えました。

Googleアナリティクス、Similarweb、デジタル広告に関するレポート、そして購入者のアンケート。それぞれを掛け合わせたり、比較しながらデータ分析を行なっています。

━━━一方、データマーケティングを進める中、どのような新たな課題が生まれていますか?

何の目的のために、何のデータが必要か…これを見極めるのに苦労しています。

販売している商品について「何のデータが必要なのか?」を常に考えています。

データ収集は具体的な目的があって行うものです。しかし、最近はその目的が明確でない場合が多い。取得できるデータは増えたものの「このデータを見て何をするのか?」といった疑問が生じることがあります。

━━━ここまでデータマーケティングへのシフトの裏側をお聞きしました。最後に、データマーケティングを推進する中でSimilarwebへの印象はどのように感じられますか?

前提として、より頻繁に行き来して得たデータを自社で収集できる体制を整えることが重要です。これには、自社の購入者アンケートなどが含まれます。

また、他社や市場全体を巻き込んだ相対的なデータの収集も重要。これは、大局を見るためのもので、現在の顧客がどう感じているかを把握するためのものです。

故に、主要な3つのデータは「購入者データ」「相対データ、」「込み客の意見」。これらのデータを単独で使うのではなく、それらを行き来しながら物事を考えることが有効です。

その時、Similarwebを使用して他社や市場からの総合的なデータを収集することは「相対データ、」「見込み顧客の意見」の2つを収集する上で役立ちます。

社内の議論では、Googleアナリティクスのデータだけでは、データマーケティングにおいて不十分であるという意見があります。

Googleアナリティクスのデータが上がった、ないし下がった原因が特定できない場合、以前の私たちは大規模な広告を実施していたかどうかが判断材料になります。

そこを他社との比較から、業界全体の傾向を見れるようになりました。

どの業界であれ「購入者データ」「相対データ「見込み顧客」の3つは重要であり、その中で2つの観点で、Similarwebは必要なのではないでしょうか。

この投稿はSimilarwebの法的通知および免責事項の対象となります

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